- 2006年10月 5日
- 01.時事寸評
参院選「1票の格差」 最高裁、5・13倍「合憲」 上告棄却■5人「違憲」判断
平成16年7月の参院選で、議員1人当たりの有権者数の格差(1票の格差)が最大5・13倍となった定数配分は違憲だとして、東京、神奈川、千葉の有権者11人が、3都県の選挙管理委員会に選挙の無効(やり直し)を求めた3件の訴訟の上告審判決が4日、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)であった。町田裁判長は「国会の裁量権を超えたものと断ずることはできず、憲法に違反していない」と述べ、原告側の上告を棄却した。請求を棄却した1審・東京高裁判決が確定した。判決は裁判官15人のうち10人の多数意見。5人は「違憲」の反対意見だった。
大法廷は16年1月、最大格差が5・06倍だった13年の参院選の定数配分を合憲としていたが、15裁判官のうち6人が「違憲」の反対意見だった。合憲とした9人のうち4人も「次回も現状維持なら違憲の余地あり」と補足意見を述べていた。
この日の判決理由で町田裁判長はまず、「本件選挙当時の格差は5・13倍であり、前回選挙当時(5・06倍)と大きく異なるものではなかった」と言及。
さらに、(1)16年の判決から本件選挙までの期間は約6カ月で、不平等を是正する措置を講ずる期間として不十分だった(2)参院では本件選挙後、各種の是正案が具体的に検討され、4増4減案に基づく公選法の改正案が18年6月に成立して格差が縮小した-ことなどを指摘し、「これらの事情を考慮すると、本件選挙までに定数配分を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えたものと断ずることはできない」として合憲と判断した。
一方、判決理由の中では4増4減の改正について、「評価すべきものであるが、今後も国会においては、これまでの制度の枠組みの見直しをも含め、投票価値の格差をより縮小するための検討を継続することが憲法の趣旨に沿う」と述べ、格差の縮小をさらに促す異例の注文も付けた。
◇
【視点】
■縮小へ国会に異例の“注文”
最大で5・13倍となった1票の格差について、最高裁判決は「合憲」としながらも、参院の定数訴訟では初めて、制度の枠組みも含めた格差の縮小に向けての検討継続を求めた。不平等の抜本的な解消に乗り出さない国会への強い警告といえる。
1票の格差をめぐっては衆院で「3倍未満」、参院で「6倍未満」が“合憲の目安”とされてきた。しかし、5・06倍の格差について合憲とした平成16年最高裁判決は、10人の裁判官が是正を求めており、5倍を超せば違憲と判断される可能性があることも判示されていた。
今回の訴訟の対象となった参院選はこの判決からわずか半年後の16年7月に行われたため、定数は見直されずに格差は5・13倍にまで拡大。それでも、今年6月の「4増4減」で格差は4・8倍程度に縮小していた。
合憲と結論付けた4日の判決はこうした経緯を総合的に評価したものだが、決して現状を良しとして追認したものではないことを、国会は重く受け止める必要がある。
憲法が二院制を採用している理由は、衆院の決定をチェックする“良識の府”としての機能を、参院に求めているからだ。しかし、衆院と同様の審議・採決をしている現行の参院が、「衆院のカーボンコピー」などと批判されて久しい。
与野党は来夏の参院選を「天下分け目の戦い」と位置づけている。格差の是正はもとより、参議院の存在意義と役割の明確化を図るためにも、在り方そのものについて論戦を尽くすことが、国民に対する責務である。(大塚創造)
(産経新聞) - 10月5日8時0分更新
参議院だから議員が“地元を代表”している訳ではないのだろうけど、都市部に住むものとしては釈然としない。
都市部生活者は、地方生活者の数分の1しか権利がないという事だものね。
純ちゃんに反対する人は純ちゃんの「改革」を地方切捨て、格差拡大の改革という。
“格差”の視点を何処におくかによって評価は変わるだろうけど、これは彼らが言う“格差拡大”とは反対方向に格差が拡大したものだね。
議員が“地元を代表”している衆議院でさえ地方と都市部は2倍の“権利の格差”がある。
本来縮小方向に進めなければならないのに、「地方の利権を拡大」したい人たちによって格差縮小が進まない。
進まないどころか参議院では“拡大”している。
この上、小沢民主党は地方と都市部での所得格差を縮小するという政策を掲げている。
都市部と地方での所得格差を縮小するのであれば、都市部と地方の生活コストの“格差”も縮小してほしいものだわ。
全国何処でも一律のサービスを受けられるという「ユニバーサル・サービス」を掲げるNTTでさえ、基本料金が3割ほど都市部が地方より高い。
税金だってそう。
地方交付税の格差は最大で11倍ほどある。
一番少ないのは神奈川県で、多いのは地方のある自治体。
都市生活者が納めた税金が地方に流れているために、都市部では社会インフラを改善できないでいる。
もちろん、企業が受け持つ分野は人口のスケールメリットによってインフラが充実している部分がある。
でも、道路や下水道というような行政が受け持つ社会インフラは、人口を賄う事ができないでいる。
この少子高齢化の時代に義務教育を行う学校が足りない処もある。
都会は生活コストは高いのに、“公”の見返りは少ないのよ。
あ、NTTは私企業だから“公”の見返りだけが少ない訳じゃないね。
企業はこういう生活コストの違いを勘案して「都市手当て」を出したりしているだけ。
地方と同じ給与では都市部では生活できないから都市部では収入を上乗せしなければ人を採れないのだから。
一郎クンを初めとする“平等”政治家は、地域格差を云々するなら虐げられている都市部生活者の権利や生活にも目を向けてもらいたいものだわ。
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Comments:2
- たけ 2006年10月 6日 19:57
都会はなんでも高いよね~くらいにしか思ってなかったんですけど、都内で暮らす人は大変ですよね。
だって何もかもが高い。(ってかんじがする。)
駐車場代を聞いたりするとヘタなローン代くらい払ってたりして…
田舎もんだから(高いなぁ~)と思ってると思ってたんですけど、都内に住んでる人も(高い)って感じてたんですね。
(都内の人はこの高さにマヒしてるんだろうか?)とか思ってたんですけど…
- COO 2006年10月 7日 02:08
>たけさん
物価はなんでも高いですよね~
物価に限らず、隠れた公負担も高いですよ。東京中央区(でも下町)に住む私の友人は、2年前に駐車場代に月6万円払っていました。
他に賃貸の家賃も払っているのですから、かなりの負担ですね。
親からの相続で山の手に住む先輩は、固定資産税の負担が大きくて資産を切り売りしています。
最近では車も手放したようで、車を持っているというだけで私を“セレブ”だと揶揄しますよ(笑)都市の金銭的な高水準生活は、決して“豊か”なものではないのですが、
“豊か”さのかなりの部分を地方に分配させられています。
私が住んでいる隣町は、雨が振ると下水から汚物が公道に溢れます。
人口の急増に下水道設備が追いついていからです。
地方の人が“豊か”だと幻想する都市生活であっても、“健康”な生活すら保障されていません。
にも関わらず、我々の税金は地方を豊かにするために使われます。都市部と地方で給与格差をなくすのであれば、
そういった現実も踏まえて、
ちいさな処では家賃や食費などの物価格差、
おおきな所では社会インフラの格差もなくて欲しいものだと、切に願います。。
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