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ヒューマン?コーポレート?

初めは良く解らないニュースだった。

昼間はネットを含め外界から全く遮断された世界にいるので、仕事の帰りに携帯でネットニュースを見ていて「誤発注はあみずほ証券」と会ったのを見ても、何も感じていなかった。
ただ、「何故“誤発注”が問題になるの?」という程度だった。
帰宅してネットのニュースを拾っても尚、理解できなかなった。。。

やっと理解できたのは今日になってから。

。。。
言葉もない。
テレビでは、誤発注を“ヒューマン・エラー”としていたが、我々システムに携わる者としては、“ヒューマン・エラー”を出さない為に日々努力している。
それでも出てしまったヒューマン・エラー。。。

私には考えられないミスなんだけどね。。。
って言うか、やはりヒューマン・エラーなんだろうね。。。


通常、証券会社のシステムであれば、前日の終値を基準にして上下数%を超えるような値段での注文は受け付けない。
前日、この場合は上場時に67万円を過ぎていた株価に対して、単価“1円”なんて注文はシステムでは受け付けないのが普通。
また、注文時に機関投資家というような特別な顧客以外で、発注単位(今回は1株)の数十万単位以上の注文を受け付ける事はない。
どちらのケースも、担当者が“注文”の入力をした後に管理責任者の“承認”入力が必要であるのが一般的だ。

何故その“注文”が通った(執行された)のか?
それは、その株式、その会社がたまたまその日に上場したばかりだったから。。。

新しく上場した株式であれば、“前日”の値段がシステムに登録されていない事が多い。
本来ならば“募集価格”だとか“新規上場価格”というものがあるのだから、基準となる(前の日の)値段はわかっているハズなのだけど、「新しく上場する株式に限って、注文を受ける値段の上限(下限)を設けない」という証券会社も多い。
“偶々”なのだけど、システムの盲点を突いた注文だったって事よね。。。
って、犯罪ではないので“盲点をつく”という表現は適切ではないのだろうけど。。。

通常の証券会社のシステムであれば、ヒューマン・エラーは色々なケースを想定して、その防御策が施されているハズ。
金融機関のシステムは、“人を信じない”処から始まって“入力ミスを許さない”設計になっている処が多い。
みずほ証券のシステムは肝心な処の詰が甘かったのかな?


入力時にワーニング(警告)が出たということから察するに、今回の事故は熟れと(人は間違いを犯さないという)驕りがもたらしたのだろう。
熟れがもたらしたにせよ、驕りがもたらしたにせよ、この誤発注に端を発する会社の損害は大きい。
システムが万全だとは思わないけど、ヒューマンなエラーを通してしまったのはシステム担当者としてはかなり辛いエラーだわ^_^;
でもそれは“ヒューマン”(個人の)ではなく、コーポレート(会社的)なエラーだわ。


Comments:3

ゆりかりん 2005年12月10日 20:57

個人の犯罪なんて、(一般的に言えば)知れてるかもね。
殆どは組織的犯罪なのに個人に押し付けてるケースが多いからね。
・・・組織のトップは、自己保身だけが生命線だし。。。

まる 2005年12月10日 21:57

株の売買は時間との勝負なんだろうけど、こんな有り得ないような条件の組み合わせ
の取引でも一担当者だけであっさり出来てしまうもんなのですか。
証券会社のシステムなぞ全く知りませんが、、、、警告メッセージくらいしか出ないので
しょうかね。
一担当者の裁量権以上の取引なら承認とかのフローは通らないのですかね。
みずほ証券さん、どんなシステムになっているのか教えてほしいですわー。
逆ベンチマーキング(?)の事例として使えるんじゃない。

それにしても、公的資金を導入したみずほ銀行が救済するんですねぇ。
余裕がありますねぇ~と思ったら、みずほ銀行さんの2005年度通期の予想利益
(何利益なのかは?)は6300億円。
みずほ証券がぶっつぶれるよりも支援したほうが安いのか。。。。

COO 2005年12月11日 00:43

>ゆりかりんさん
 今回は偶然が重なったために起きたミスですが、
 一人の人間のちょっとした不注意で、
 たった1分30秒の間に300億円もの損害を会社に与えてしまうのだから恐ろしいものです。
 この担当者は会社に居られないかもしれませんね。。。
 自分のミスが発端とは言え、気の毒なことです。

>まるさん
 誤発注そのものは、日常茶飯事に起きるのです。
 なので、私も最初は「何が問題なの?」と思ったのです。。。(^_^;

 証券会社はお客さんの注文を受けて取引所に取り次ぐのが仕事ですから、
 受けた注文を取り次がないという事はできないので、
 顧客からの注文を入力する段階では、
 通常の会社の決裁権限のようなフローは無いところが多いのですよね。
 でも通常であれば、こんな異常な注文はシステムでガードされるのであり得ないと思います。

 先ず値段ですが、株価というのは1日の変動幅が決まっているので、
 その“変動幅”を超える注文を受け付けても商いが成立しないので
 注文そのものを受付無いようにシステムでガードされるのが普通です。
 今回は新規上場株で、場が開けてみないと幾らで値段がつくか解らないという
 特殊な状況だったので、単価“1円”という注文も通ってしまったのでしょう。

 更に今回の注文の場合、注文の最低単位が1株(一般的には1000株が多い)なので、
 その62万倍という発注は異常です。
 そういう意味で警告メッセージが出たのでしょう。
 で、警告メッセージを見過ごすということは、
 普段から警告メッセージを気にしていないと言う事で、それはそれで問題があるでしょうね。

 それにしても、発行済み株式の60倍以上もの注文を受ける東証もどうなのかと思います。
 おまけに、1円の注文を当日のストップ安の57万2000円と読み替えて注文を受け付けたのに、
 注文の取り消しに対しては、1円のまま単価の読み替えをしなかったために取り消しできなかった。
 東証側も責任を問われても仕方の無い状況ですね。


 > みずほ証券がぶっつぶれるよりも支援したほうが安いのか。。。。
 少し前なら潰す方がコストは安かったかもしれませんね。
 でも、株式市況が良くなった最近では、証券会社を潰す選択はしないでしょうね。
 潰したとして、再び証券業務を取り扱うにはまたかなりのコストがかかってしまいますからね。。。

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