- 2007年11月26日
- 01.時事寸評
【紅葉落葉】床染める赤 幻想に浸る11月26日16時48分配信 産経新聞
丹念に磨き上げた黒い床が色付いている。表面をなぞるように目をこらすと、赤く幻想的に浮かび上がる。床の微妙な凹凸が紅葉の形と色をよりあいまいにさせ、悠然とした趣を引き立てている。
床紅葉(ゆかもみじ)。京都市左京区の名刹(めいさつ)、実相院で、客殿の床に反射して映り込む紅葉の名前だ。
外を見るとまだ緑。床は、その上の色付いたモミジをうっすらと映しているのだ。ピークには床一面が真っ赤に染まり、参拝客らは静かに見つめて幻想に浸る。
「かがんで見るより、立ったまま遠目から眺めた方が直接見える紅葉との対比を楽しめます」と実相院の責任役員、岩谷千寿子さん(55)は言う。
実は、床に映る紅葉を見いだしたのは一人の参拝客。「床紅葉」としてホームページで取り上げたところ評判になり、全国から観光客が訪れるようになったという。
■寺の期待担い赤み増す
今でこそ全国的な知名度を誇る床紅葉だが、実相院はこれまで、長い「雌伏の時」を送ってきた。
実相院は1229(寛喜元)年に、藤原兼基の子、静基によって、現在の同市北区の紫野付近に創建された。度重なる戦火で焼失したが、足利義昭の孫、義尊が寺に入り復興。江戸時代初期には後陽成天皇の下で文化的にも繁栄を遂げ、その後後西天皇の子、義延親王が門跡となった。
かつての栄華を伝える寺宝も数多い。後陽成天皇が記した「紙本墨書仮名文字遣」(重要文化財)や、江戸時代に狩野派の絵師が描いたふすま絵124枚なども残されている。現在の客殿は1721(享保6)年、東山天皇の中宮だった承秋門院の旧殿を大宮御所(同市上京区)から移築したとされ、江戸時代の御所建築を現代に伝える貴重な文化財だ。
岩谷さんは話す。「ふすまの菊の紋などを見ると、本当に江戸時代は御所だったんだな、と感じる。建物の雰囲気もほかの門跡さんとは違うとよく言われます」
しかし、華やかな歴史と比べ、寺は長年にわたり苦しい所帯を強いられている。事実、一歩境内に足を踏み入れると、かつて貴人を迎えた御車寄せや、拝観の玄関には物々しい鉄骨や木の支柱が目につく。築約300年を経過した客殿は、ふすまの間にすき間ができるなど、建物の傾きが目立ち始めている。
「お金を借りて建物を維持しているのが現状です。後世のために修復をしなければならないと考えているのですが…」と岩谷さん。
理由は、ふすまや客殿がいまだ文化財指定を受けておらず、檀家(だんか)もいないためだ。現在は参拝客に寄付を募ることで、修復への道を探る日々を過ごしている。
「ありがたいことに床紅葉のおかげで、ここ数年は多くの方が帰り際に寄付をくださいます。『突破口』といってもいいかもしれませんね」
客殿の床は、人に知られぬまま毎年、紅葉を映していたに違いない。今は、秋の深まりとともに、寺の期待を担って赤みを増していく。(文・森川潤)
最終更新:11月26日16時48分
京都好きの私は、当然、実相院にも行ったことはある。
調べてみたら、2003年の11月だからもう4年も前の事になるのだけど。。。(^^ゞ
門跡寺院だけあって、立派なお寺だった。
実相院には手紙を初めとして貴重な資料も勿論あるのだけど、そんなに大きくないけれど3つあるお庭だってすばらしい。
その内の1つのお庭の紅葉が黒く光る床に反射するのが「床紅葉」
この床紅葉は天気が良い日でないと観られないらしい。
私が訪れた日の天気は不安定だったけれど、この時は計ったように天気が良かった。
それでも室内ですした写真はこの程度で、その日の紅葉の美しさは写しきれてはいない。
お寺が設定している拝観“順路”を進むと、最後に出会うのがこの“蹴鞠の庭”。
枯山水のこちらのお庭は少し雨がそぼ降る日の方がしっとりと美しいらしい。
この日は天気が良く変わる日で、私が客間の床紅葉を観て、寺宝を拝見している間に雨が降り出した。
この時間帯にはちょうど雨が降り出していたお陰でどちらも丁度良い“日加減”で観ることが出来たのよね。
この実相院が、仁和寺に負けない重厚さと上品さのあるお寺なのに、国からの文化財指定がない事が理由で修復がままならないのは残念。
個人的には、好きなお寺に観光客が多いのは好まないけど、観光客が増える事で一般に認知されてお寺の維持管理に寄与するのであれば、多くの人に訪れてほしいなと思う。
って、いうか、こういう寺院は文化財として“指定”してもバチは当たらないと思うのだけどね。。。
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