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伝統を無視した“伝統”論者。。。それは歴史を賤しめる。。。

<皇室典範>有識者会議が報告書 女性・女系天皇容認を柱に


 小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東京大学長)は24日、女性・女系天皇の容認を柱にした報告書をまとめ、首相に提出した。女性・女系容認は「社会の変化に対応しながら、多くの国民が支持する象徴天皇制の安定的継続を可能にするうえで大きな意義を有する」と結論づけた。報告書を受け、政府は来年の通常国会に皇室典範改正案を提出する。皇室の長い歴史の転換で国民の理解を深めることが課題になるうえ、政府・与党の一部には異論が残っており、調整は曲折も予想される。
 女性・女系容認以外では(1)皇位継承順位は直系優先で出生順の「長子優先」とする(2)皇室の範囲は天皇との世数を限定しない現行の「永世皇族制」を維持する(3)女性皇族は婚姻後も皇族にとどまり、配偶者や子孫も皇族となる――などを盛り込んだ。


少し前から色々取りざたされていたけど、今日やっと答申が報告されたのね。


<皇室典範会議>皇位継承順位で長子優先を全会一致で確認


 小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東京大学長)は21日、東京都内のホテルで第16回会合を開き、最終報告書の全容を固めた。女性・女系天皇の容認を決めた後、課題として残っていた皇位継承順位について、直系優先のうえで出生順に定める「長子優先」とすることを全会一致で確認。皇族の範囲に関しては、天皇との世数を限定しない現行の「永世皇族制」の維持を打ち出す一方、女性皇族が宮家を創設することを認めた。



女系天皇を認めるか、(将来も)男系天皇しか認めないかは、皇室を将来にわたって残すつもりがあるのか否かに見える。
私に言わせれば、男系に固執することは、“将来にわたって残すつもりが無い”と同義なので、今回の女系天皇を認めるという答申は天皇制を将来にわたって残す意思の表れなのだと思う。

男系を支持する人の多くは“2600年の伝統”を口にする。
2600年を言うならば神武天皇からの系譜を言うのだろう。
でも、既に、継体天皇の処で途切れているのは解っている事なので、その後の天皇家の血が男系で継承されているとして聖徳太子の父親である欽明天皇からの1500年というのが正確なところだろう。
で、継体天皇の前後で途切れていると言う時点では、男系を支持する人の根拠の半分が崩れていると思うのだけど?

日本の天皇家は、継体天皇を境にしてそれ以前はユダヤ人系譜の王朝であり、それ以後は朝鮮人王朝の系譜であると言うのは、(日本以外では)かなり知られた定説。
日本では宮内庁が認めないから、学問の世界では定説になっているけど、一般的にはなっていないのよね。

あ、で、2600年の伝統って何?
BC660年に始まった王朝はAD500年過ぎには切れている。
此処で、彼らが言う“伝統”は途切れている。
その後は、紆余曲折があったものの、今上天皇まで天皇家の系譜は続いている。
でも、それじゃ1500年程度。
男系を支持する“2600年の伝統”とは違うよね?


さらに、あ、で、2600年の伝統って何?

皇統断絶の危機に対して、
 1.旧宮家を復活させ皇統を継がせる
 2.旧宮家を復活させるが皇統は継がせず、復活させた宮家から皇室に養子を取って皇統を継がせる
 3.旧宮家は復活させず、旧宮家から養子を皇室に迎え入れ皇統を継がせる

男系を継承するとなると、この三つのパターンが考えられる。
でも、これって、2つの意味で皇統史上先例のない継承方式なのよね。
つまり、この3つの方法を取る限り、前例のない、“伝統に則ってはいない”皇位継承と言う事になる。
つまり、今後の男系継承は、女系継承と同じ土俵にあると言う事ね。
これを“伝統”と言うのはおこがましい以前に、物知らず?

皇統は天皇“五世孫以内”の男子による継承が“伝統”の前提だった。
これは武烈天皇に男子が誕生せず、皇統断絶の危機に会った時に応神天皇の五世孫である(?)継体天皇を越の国から迎えて皇統断絶を免れたことに由来するらしい。
(現在の研究では継体天皇は応神天皇との“血”の継承はかなり薄い(というか、殆ど無い)と言われている。。。)

もう一つは、臣籍降下して数世代後に皇統を継いだ先例はないこと。
要するに、天皇は神聖不可侵の(神の)存在であり、臣籍降下し聖から俗の世界へと降りた者が、再び聖性を纏う、“神”の存在に戻るのは望ましくないと言う事。
源氏物語の光源氏が、息子である天皇に禅譲を示唆された時にも辞退した、その理由だよね。

で、男系天皇にその根拠がないのだから、男系であろうが女系だろうがどっちでもいいのでは?と思ってしまうのが、現代人だと思うけど?


まぁ、天皇制支持&女系天皇の支持の多くが、今上天皇の直径の子孫(愛子内親王や佳子女王、真子女王)が居らっしゃるのに、何処の血が混じっているか解らない人を天皇にするのがイヤなだけなんだけどね。
だって、旧宮家で唯一人皇籍復活を承諾している竹田家の竹田恒泰氏はかなりの俗物だし、その人が皇統を継がない、或いは彼の子孫に男子が生まれないとしたら、その後“発掘”される旧宮家の御落胤はいかほどか。。。
要するに、そういう俗世の人を国民の象徴にはしたくないというのが本音でしょう?

そりゃ、象徴としては生まれたときからベールに包まれている人がいい訳で。。。
私に言わせれば、男系に固執する人は天皇系の系譜を途切れさせたい人なのかと。。。


第1子優先か男子優先かという議論に関しては、第1子優先がいいと思うのは、皇太子妃にこれ以上の負担をかけるのが忍びないから。
男子優先となれば、彼女に生殖(出産)機能がある限り、或いは皇太子に生殖機能が在る限り、男子出産が期待されるのでしょう?
それって、人間として可哀相だと思うから。
生物が子孫を残すために生きているとは言え、人間はあるときから子孫を残す以外に生きる意味を見出してきた。
それなのに、天皇家だけは子孫を残す為だけに存在価値があるというのは、“伝統を重んじる”人には当然なのかもしれないけど、天皇家だけ2600年前の生き物ののまま考えるのは、本当に天皇家と日本の為になることなのだろうか?
私には疑問だな。
改めで言うならば、天皇制を存続させたいのか/させたくないのか。
存続させたいのなら、存続させる現実的な、実現可能な方策を考えるべきでは?
であれば、女系継承でも致し方ないのでは?
男系にこだわれば、100年後には天皇制は無くなると思うけど?

男系天皇を支持する人は、嘗て宮家の皇籍離脱に関して鈴木元首相が言ったのとは逆説的な意味で、男系が途絶える時には天皇家は不要になっているとの判断なのだろうね。

11宮家の皇籍離脱について重臣会議で鈴木貫太郎元首相が加藤進宮内次官に「皇統が絶えることになったならどうであろうか」と疑問を提示。加藤が「かつての皇族の中に社会的に尊敬される人がおり、それを国民が認めるならその人が皇位についてはどうでしょうか。しかし、適任の方がおられなければ、それは天が皇室を不要と判断されるのでしょう」と述べたという逸話も盛り込まれている。


それにしても、男系でなければ有難味が薄いという意見を理解しかねる。
天孫降臨の“天”は女性だったのに。。。
天孫が天皇家の祖先と言ってはばからない人。
女性が祖であるのに。。。その出発点から男系ではないのに、その何処に男系の根拠があるのだろうね。

Comments:4

ヨシムラさん 2005年11月26日 20:08

>でも、既に、継体天皇の処で途切れているのは解っている事なので、その後の天皇家の血が男系で継承されているとして聖徳太子の父親である欽明天皇からの1500年というのが正確なところだろう。

コレ突っ込むと男系支持派の人達はモノスゴイ勢いで反論してきますね。

1000年以上前に遺伝が医学的/科学的に解明されていたワケでは無いので、当時は当時の理由でそーなったのだと思いますが、だったら現代は現代の理由で継承していけばいーんぢゃないかとゆー気がします。流石にもぉ天皇家を神聖視するヒトも少数派でしょーし。

先の黒田清子さんの結婚式は、それなりに注目された行事だったよーですが、日本人が今皇室に求めているものって、血縁的な伝統ではなくて、連綿と続いてきた様式美なのではないかと思います。伝統と言ってしまうと血縁的なモノも含まれてしまうでしょーが、多分それはそんなに気にしていないのではないかと。

日本のシンボルであるのならば、日本人が大体「いーんぢゃない」と言えるヒトならば、血縁はさほど重要では無いよーに思います。

COO 2005年11月27日 23:20

>ヨシムラさん
 男系支持派の人って、「神話」をそのまま信じている人達でしょう。
 宮内庁が“学説”を認めないのも、天皇が神の孫であるという“神話”を現代日本人に信じさせたいわけで、
 そういう意味では、男系支持派の人たちって“大本営発表”を信じている人たちなのよね。

 表向きは、染色体がどうのだとか、遺伝子がどうのだとか言っているけど、
 部分的に科学的なものを持ち出しても、全体が非科学的だとい言う事に目をつぶっている時点で
 論理的ではないと思いますけどね。。。
 継体天皇の前後で、宮中文化も天皇の生活様式も、伝えられている神話の世界でも
 全く異なるのにね。。。。

 男系支持派が拠り所にしているとも言っていい、旧竹田宮家のお坊ちゃまは
 自分を明治天皇の玄孫と言って宣伝しているけど、
 それも、女系での玄孫であって、男系に限って言うならば血のつながりなんてあるの?というぐらい遠い関係ですから
 彼を担ぐとするならば、男系というのも女系とあまりかわりないような。。。


 > 日本人が今皇室に求めているものって、血縁的な伝統ではなくて、連綿と続いてきた様式美なのではないかと思います。
 そうですね。
 でも、だから難しいのでしょうね。
 
 “伝統”の中には当然男子継承の部分もあるし、
 “神秘性”もあると思うのですよね。。。

まる 2005年11月27日 23:46

う~む。
正直言って、今更、旧皇族が皇籍復帰する覚悟があると一方的に言われても、そら無茶ですがな。
国民はある意味残酷なもんで、ある種、神秘的な存在である皇室そして、天皇像を望んでいるんじゃないのかな。
すくなくとも、世俗にまみれて成長し、意見する人間には無理。
あれは自己犠牲の上に成り立っている制度ですよ。
ぽこぽこ復帰されたら、近い将来英国の皇室みたいになりそう。

私は天皇家の歴史には詳しくないですが、現在の皇室は万世一系とか言っていますけど、色々ボロはあると言う事位は知っていますよ。
聖徳太子の頃(?以前)の天皇になると皆さん、100歳超まで生きてられますし、南北朝時代の正統な天皇は、南朝の天皇でしょ?でもうやむやになっているし。。。。
男系でつづくなら、それに越したことはないですが、そうではないなら現実的な方法を考えるしかないですね。

COO 2005年11月28日 00:15

>まるさん
 今更、天皇が“神”だと言う人は居ないにしても、
 祭祀を主催する人として、“天皇”という存在に対してある程度の神秘性は誰もが求めていると思いますよね。

 今でさえ、“浩宮”時代の皇太子や“礼宮”時代の秋篠宮の素行については
 同年代で東京の大学に通っていた人には色々聞こえていますから
 世俗に居た旧宮家の素行なんて、イギリスの大衆紙が飛びつくような話題はいくらでもあるのかと。。。

 > 男系でつづくなら、それに越したことはないですが、そうではないなら現実的な方法を考えるしかないですね。
 私もそうおもいます。
 この後は、どういう選択肢がイチバン現実的なのかにかかっていると思います。


 旧宮家でさえ、現在独身で成人である4人の他には男子の後継者はいないので、
 この後“男系”で数代続くのは無理がありそうな気がします。

 男系支持者の中には、旧宮家のお子様を赤ん坊の内に東宮家の養子にすればよいと言う人も居ますが、
 そういう方に限って男の子を持つ母親だったりするのですよね。
 彼女たちって、産まれたばかりの子供を他家に養子に出すと言うことを
 それも、自分の意思で会うことも叶わない家に養子に出す(手放す)と言うことを
 自分に置き換えて考えた事があるのかと思うのですよね。。。
 他の家(天皇家)の子供には関心があるけど、ご自分の子供のには全く執着も関心もない母親なのではないかと思ってしまいます。。。

 仮にその人が旧宮家の当主の奥方だとして、生まれた子供全部が男子だったら、
 一人残らず生後まもなく東宮家に養子に出すと言うことでものね。
 医療が進んだ現代でも、成人して天皇になるだけでなく、将来の皇統を支えるためには、
 皇族に男の子は1人ではなく何人も必要ですからね。。。
 私の友人で子供4人が全て男の子と言う人が居ますが、
 旧宮家に嫁いだ女性が4人産んだ子供が全て男の子だったら、4人とも東宮家に養子に出して、
 自分の子供としては1人も育てる事はできないということになります。

 そんな事を他人に求める人ってどんな人たちなのだろう。。。と私は思ってしまいます。。。
 多分、ご自分の子供には愛情を感じていない人なのでしょうけど。。。

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