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ならば、正当性と客観性のある名前を考えて欲しい

<病院名訴訟>「乳腺」は使用不可 最高裁が上告棄却


 乳がんの専門医がいるのに医療法の広告規制で病院名に「乳腺」という文字を使うことを認められなかった横浜市の医療法人が、市の不認可処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は7日、原告側の上告を棄却した。原告側は「規制は表現の自由や営業の自由を保障した憲法に反する」と主張したが、判決は「誇大広告で国民が適切な医療を受ける機会を失うおそれがある」としてマッサージ師らの広告規制を合憲とした判例(61年)を引用して退けた。
 原告は01年と02年に病院名を「よこはま乳腺と胃腸の病院」に変更する認可を申請。市は体の部位を示す「乳腺」が診療科名に当たると判断し、医療法施行令で広告が認められた27種類の診療科名に該当しないことから不認可としていた。7日の判決で、不認可を適法として請求を棄却した1、2審判決が確定した。
 病院は現在、乳腺の2文字分を空白にした「よこはま  と胃腸の病院」の名前で認可を受け、空白を残したままの看板を掲げている。ただし、厚生労働省は「インターネットは利用者が自分の意思でアクセスするため、不特定多数の人への広告ではない」との見解を示しており、病院はホームページでは病院名に乳腺の文字を入れている。【木戸哲】
(毎日新聞) - 12月7日15時12分更新


ネットでこの裁判の記事を見ただけでは、この裁判官が「乳腺科」という言葉から想像される何を想定して「誇大広告」と言うのかは解らない。
解らないから言ってしまうけど、専門医を探し難い状況下で“誇大”と考えられる部分と“隠されている”部分のどちらが社会的影響が大きいと言うのだろう?

乳がんが社会問題になっている、というか、ネットや各種メディアで早期発見のキャンペーンに上がるほど、「治るのに早期発見されない病気」になっている。
企業で健康診断を行うような産業医では、科外なのに「乳がん検診」を進めるポスターを見る。
そんな状況でも、乳がんを的確に診断してくれる病院を探すのは難しい。

早期発見が大事だとは言え、何処に行けばいいの?
でも、意外にもその専門医を探すのは、容易ではない。
そもそも、お乳を診せる診療科は?
一般的には、婦人科か外科に行くのだろうけど、婦人科も外科も実は専門医ではない。
本当は乳腺科が専門になる。


しかしなぁ。。。
厚生労働省の言い分も面白い。
厚生労働省は「乳腺科」と言う広告は認めないけど、ホームページで掲げるのはOKだと言っているらしい。
ホームページが自分の意思でアクセスするものだから“(不特定多数への)広告”ではないと言う判断らしい。
だとすると、NTTの「タウンページ」への広告は広告でない?
タウンページだって、利用者は自分の意思でページを開くよね?
って言うか、法整備の不備を言葉のアヤでごまかしているだけだよね。


産経新聞の記事を掲載するiza!では、

病院名に「乳腺」ダメ 最高裁棄却で確定


(前略)
 判決理由で横尾裁判長は「医療法などは患者の適切な医療を受ける機会を確保することを目的として、医業などに関して一般的に広告できる診療科名を、客観性や正確性を維持することが可能なものに限定したと解される」と指摘。その上で、「『乳腺』を一般的に広告できる診療科名として定めなかった医療法などの規定は憲法違反に当たらない」と判示した。
(iza!) - 12/07 14:03更新


乳腺という言葉に正確性や客観性が無いと裁判官が判断したらしいけど、何をもって正確ではないと?
“正確”ってどういう事?
専門医が居る事を知らしめる広告が認められないことを正当とするの?

医療に関しては情報不足が多いから、その隠匿って好きになれない。
この記事に私が反応するのは、そういう理由からなのかなぁ。。。?


母は、今の私より2歳若い42歳、私が中学3年生の時に乳がんの手術をした。
もう27年前になる。
その頃でも乳がんは治る癌だと言われていた。

母は、胸のシコリは気になるものの、2年程、ほったらかしにしていた。
癌だとは思っていなかったし、当時の事だから、お乳を診せる診療科なんて思いも付かなかっただろう。
当時住んでいた地方にある2つの大学が共に癌医療では日本でTOPの研究水準だった事もあって、地方都市の市立病院でもそれなりの医師が居たのが幸した。。
お陰で手遅れ寸前だった母も無事生還した。

でもね。。。母は偶々助かったのかもしれない。
乳がんでは、行くべき病院を知らずに手遅れになっている人が多い。
そんな事を考えると、どういう客観的な正当性を持って“乳腺科”が診療科名としてふさわしくないのか、はっきり示して欲しいと思う。
その上で、乳がんの専門医が居る事を知らしめる診療科を考えて欲しいと思うのは私だけじゃないと思う。
医療のような専門的な知識が必要な分野なのに誰にでも身近に必要な事柄って、もう少し情報を解り易く公開してもいいと思うのだけどな。。。
何も、神秘だけが医療の正当性という訳じゃあるまいし。。。






って言うか、診療報酬の問題も含めて、隠し過ぎる事が医療の不信感を買っていると思うのだけど?

Comments:3

たけ 2006年12月 8日 20:55

気になったらとりあえず「産婦人科」に行くしかないんですけど、診てはもらえないんですか?
ホントに「早期発見」っていうんなら「~へ行きましょう」みたいなことをきちんと知らせて欲しいですよ。

健康診断でも乳がんまではやってくれないし、聞いた話によるとあの検査って高いらしいですね、だからかな?

まる 2006年12月 8日 22:26

馬鹿だろうか?
誇大広告、、もしそうなら、、、その結果のデメリットと、本当に必要な人が適切な診療を受けられるメリット、どちらが大きいのか?
だいたい、乳腺**って病院名は沢山あるじゃないですか。
>横浜市の医療法人が、市の不認可処分取り消しを求めた訴訟で
というくだりを見ると、最初の馬鹿は横浜市の担当部署か?
http://www.v-next.jp/byoin_01.htm

これを見ると、札幌だけで乳腺クリニックと名乗っているところは4箇所もありますよ?
表現がどうのより、早期に適切な専門医に見てもらいその人が適切な判断&処置をしてもらう方が優先されると思いますが!!!
法律的には違うのか?
>マッサージ師らの広告規制を合憲とした判例(61年)を引用して退けた。
と言うのはさっぱり理解できない。
乳腺の専門医が居るんでしょ?マッサージ師のケースと同列に扱うの?これ。
で、結論として、「裁判官は馬鹿」。
この一言ですね。

COO 2006年12月 9日 01:49

>たけさん
 診てもらえないという事ではなくて、正確な判断ではないかもしれないという事です。
 産婦人科で“異常なし”と言われても、本当に乳がんでないかどうかは判らないらしです。
 検診は、今は幾らなのか解りませんが、少し前は5000円/1回でした。
 確か保険が利かなかったと思うので、それで5000円であれば
 保険が利く風邪などの診察とほぼ同じぐらいの医療報酬です。
 ただ、風邪なのあ保険が利くので、本人負担は1500円程度なので安く感じますが、
 本当はどちらが安いのか。。。という議論はありますね。


>まるさん
 広告をすることによって与える誤解の大きさが今は見えない状況なのではっきりした事はいえないのですが、
 直感的には、知らしめた方がメリットは大きいように感じます。

 これもある意味、“医療”が(診療報酬を守るために)自身を聖域化した結果だと思いますが、
 判決は患者寄りにはなっていないように感じます。

 ネットで調べた限りでは、2005年には厚生省が「乳腺科」という広告を許可したようです。
 審理が長引く裁判というのは、何時を基準に判断するのか難しいのでしょうが、
 今現在なら、乳腺科の広告も可能なようですね。

 
 女性に朗報:乳がん専門医の広告が可能に http://www.sis-web.co.jp/hbs/hbs-news041008-01.html
 日本乳がん学会 http://www.jbcs.gr.jp/ninteii/senmoni.html

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