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サイレント・オーディエンスは打出の小槌?

数日前の新聞に、政府税制調査会が個人所得課税に関して答申(「個人所得課税に関する論点整理」)を公表したとあったが、その説明の為に税制調査会の石会長が昨日のテレビに出ていたのね。
「報道2001」は私も見ていたけど、朝から出かけたから、途中の1部分しか見ていなくて見逃してしまった。

会長、理解訴え/与党「狙い撃ちせず」

 政府税制調査会(首相の諮問機関)が公表した「個人所得課税に関する論点整理」への増税批判が高まる中、二十六日のフジテレビ「報道2001」に出演した石弘光会長(一橋大学前学長)は、「少子高齢化をどうするか考えてほしい」と説明、サラリーマンへの税負担増の必要性を訴えた。だが、反響の大きさに、与党には「狙い撃ちはしない」とする慎重姿勢も強まっている。
 二十一日に公表された論点整理は、給与所得控除や扶養控除、配偶者控除の縮小・廃止の方向を盛り込むなど、増税色の濃い内容となった。
 特に給与所得控除の縮小は、給与所得者世帯への影響は大きく、「サラリーマン増税」と批判された。
 番組に出演した石会長は、「来年四月から増税になる話ではない。あの内容で行けるとはみんな思っていない」と、今回の案が論点整理であることを強調。そのうえで、「所得税には(減税措置による)ゆがみや不公平がある」と指摘した。
 さらに、「国が借金を抱え、孫、子供の世代につけを回すことになる。少子高齢化を控え、日本をどうするかという大きな観点で考えてほしい」と理解を求めた。
(産経新聞) - 6月27日2時44分更新


個人課税所得の課税強化については、“ご時世”を考えれば“見えている”事だった。
ただね。。。

企業や個人は精一杯支出を切り詰めている。
その結果、企業業績は上がり過去最高益を出す企業も決算を公表する企業の半数に上るらしい。
実際、企業業績は数年前から少しずつだけど上向いてきてた。
一方家庭は?というと、企業業績の向上の恩恵を受けられるようになったのは、やっと今年から。
今年になって、やっと企業の給与水準が前年比で上向いたに過ぎない。
それでも、長年下がり続けた給与水準がやっと前年比で上向いただけ。
でも、所得税の定率減税が廃止されているから、実質的な所得はそうは伸びていない。
ここに、課税対象額が増えて実質的に増税になる控除見直しが行われたら、また景気が逆行してしまう。。。
そしてまた、企業や個人がこれほどまでに支出を切り詰めている中、行政は?
行政は、自らが借金で自転車操業しているという意識もないまま、打出の小槌からお金が無尽蔵に出てくるもの勘違いして、支出の抑制を怠っているのでは?

平成の大合併と言われた市町村合併は何のために始めたの?
元はといえば、行政を合併することによって、効率化を図るためじゃなかったの?
A市に5000人居る市役所職員とB市に3000人居る市役所職員を、合併する事によって共通する仕事を一方に移し職員を6000人にする事が目的だったのでは?
今はどう?
かなりの市町村は合併をしなかったし、合併した市町村でも職員数は殆ど変わっていない。
合併した当初は職員にもそれなりに仕事があるだろうから直ぐに減らないとしても、削減計画ぐらい出してもよさそうなものに。。。
合併しなかった市町村は、それが住民投票の結果だとしても、合併を受け入れない事を選択したのであれば自治体が自身の合理化計画ぐらい公表すべきだと思うんだよね。。。
住基ネットからの離脱で有名になった矢祭町の例が新聞などで殊更取り上げられるくらいだから、他には殆ど削減の例はないんだろうな。


石会長はテレビで、「少子高齢化を控え、日本をどうするかという大きな観点で考えてほしい」と言ったらしいが、税調にもそういう観点で税金の事を考えてほしいと思う。
今までは、「サラリーマン」を打出の小槌の用に使ってきたが、2007年からの団塊世代の大量退職を控え、“サラリーマン”そのものの人口が減るんだけど、本当にこの「論点整理」は「少子高齢化を控えて、日本をどうするか」という観点でものを見ている?

その減ったサラリーマンから、年金や健康保険料、介護保険料と搾り取って、更に税金負担を重くするつもりなんだよね?
今でも収入の1/3がこれら広い意味での税金で持っていかれているのにこれ以上負担が増えたら、サラリーマンも生活保護でももらわないと生活できなくなるよ(苦笑)
サラリーマン一人の稼ぎで自分ひとりの生活が出来るかできないかということになると、専業主婦なんて本当に一部の特権階級だけのものになってしまう。
先日の劣化ウラン弾の記事に絡めて「奇形の子供のが生まれるということを理由に劣化ウラン弾を批判するならば、ストレスによる異常出産の可能性がある女性の社会進出も批判すべき」というコメントを頂いたのだけど、この考え方って裏を返すと「社会で働く女性は子供を持つな」という事に等しい。
いや、本心は、「女性は社会で働くな」といいたいのだろけどね(苦笑) 
となると、高負担の税金のために働かざるを得なくなった女性は子供を持ってはいけないという事になり、子供を持つことすらも、一部の特権階級のものになってしまうのね。
ってのは極端だけど、サイレント・オーディエンスと言われるサラリーマンを打出の小槌、あるいはいくらでも搾り取れると思っているのなら、早晩破綻が来るよ。
労働人口が減って非労働人口が増えた後の事まで考えて税制を考えないとね。
2年後からは労働人口は現象に転ずるのだから。。。
それとも、労働人口が減ると言う観点で、「女性を働きに出したい」という意図で、専業主婦の控除を無くすのかしら?

“税金”って抑制効果があるから、事実上の増税になる“控除を減らす”というのは、そのカテゴリーを抑制したいと言うこと。
すなわち、専業主婦の控除を無くすというのは、専業主婦を抑制したいと言うことになる。
まぁ簡単に言うと、結婚している女性も“働いて稼げ”なんだよね。
ふ~ん。。。
少子高齢化を見据えて、女性に子供を産んでもらおうとする政策は諦めて、女性を働き手にして労働人口を増やすって政策なのね(^^;

少子高齢化を見据えてというのであれば、国民健康保険料や介護保険料はどうするの?
今は、地方自治体がその不足分を負担しているはずだけど。。。
というのも、最近、リタイア後に地方にIターンする人が増えてきたという。
リタイア後って事は、その多くはサラリーマンを辞めた後って事だよね。
そういう人が地方に行って、収入が減っているのだから当然今までより税負担は少なくなる。
一方、移住当初は未だお元気だとは言え、将来は国民健康保険や介護保険の世話になる人も居るだろう。
そういった、人の行動様式の変化や生活様式の変化まで取り込んだ内容になっているとは思えないのだけど?
税源移譲して「地方自治体は自立しなさい」はいいけど、世代バランスの悪い人口比になった地方自治体は耐えられるの?
そういう世代バランスで支出や負担の違うものって、“国全体で見よう”という議論はしたの?
「論点」として挙がっていないと言う事は、議論もしないんだよね?
それで、日本の将来を考えた税制の議論が出来るの?


っていうか、やっぱり入るのが少ないなら出すのも少なくする。
これが鉄則だよね。
まず、行政がどのくらいスリムになったかを出してからじゃないの?増税の議論をするのは。






蛇足だけど、件の「女性の社会進出云々」に関しては、“女性の社会進出”によるストレスが異常出産の原因だとは思っていない。
社会進出によるストレスって何?
そんな事を言う人って、女性は家庭でストレスを感じてないと思っているのかしらね?
家庭で受けるストレスより仕事のストレスの方がよっぽど軽いと思っている女性って、案外多いんじゃないの?
女性の社会進出先進国のノルウェーやシンガポール、中国で異常出産が多いなんて統計は聞いたことないし、アフリカなんかの男性は外では働かず、女性が外で働く部族での異常出産が多いとも聞いていない。
日本の有職女性の職場でのストレスが異常出産の原因になるほど大きいとしたら、仕事そのものより、女性が外で仕事をするのを快く思わない人の陰や陽の“嫌がらせ”が原因なんじゃないかなぁ。。。

Comments:2

ゆりかりん 2005年6月28日 14:22

激しく、同感!     仕事のストレスなんて、それに比べたら、・・・って比較にならないよ。

水槽タンクの容量を大きくして常に水量を満たしておこうと無理して、
水源を限界まで厳しくチェックしてるのは良いけど、
各戸別の蛇口が、どれもこれもぶっ壊れたまま、
ジャァ~ジャァ~水漏れしてる状況だもんね。
まず、蛇口を改修するか、改修する気が無いなら減らすか、どっちかにしてもらわにゃ、
幾らタンクいっぱいに水を補給し続けても、限がないんだけど。

公務員制度改革を頓挫させたままにしておいちゃダメだね。
獅子身中の虫とも言うべき公務員達が、日本の国力を阻害してる構図は、
早々に建て直して欲しいもんですな。


COO 2005年6月28日 23:04

>ゆりかりんさん
 ゆりかりんさんもそうですか。<仕事より家庭のストレスが大きい

 公務員制度の改革ってどこへ行ってしまったのかしらね?
 政府も国会も郵政民営化にばかり目が向いているけど、
 国会議員が郵政民営化に反対するのは、水槽のタンクに入れる水を確保したい為。
 一方、蛇口の方は道半ば。
 独立行政法人と言う名の政府管掌法人になっただけ。
 独立とは名ばかりで、人件費その他必要経費は国からのミルク補給が相変わらずあるのですものね。。。

 最近、やっと独立行政法人の職員の身分変更を検討し始めたらしいですが、
 少しはマシになるのでしょうか。。。

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