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善意のつもりの偽善

昨日の毎日新聞の報道を受けて、今日ははホワイトバンド関連の検索でのアクセスが多いね。
個人的には、毎日新聞が何故今取り上げたのかが気になる。
だって、300万個売れた内、問い合わせも含めたクレームが500件。
0.2%にも満たない問い合わせ&クレームが、“多い”?
と思ったら、朝日新聞で何か記事になったから?


私は昨日、日本のホワイトバンドは中国で生産されてその制作費が中国に流れているのが問題とされていると書いた。
何故中国にお金が流れるのが問題なのかも書かないままに。。。

ホワイトバンド、否、「ほっとけない世界の貧しさ」の運動主体の広報によると、この活動は貧国の債務放棄を中心とした政策提言を行うとある。
債権放棄が本当に貧困を救うの?
債務超過の貧国は数多くあるだろうから、アフリカのある1国を例にとるのは乱暴だとは思うけど、ちょっとしたシミュレーション。。。かな?(^_^;

対外的には内戦と表現して、武器を持たない国民を武器を持つ国家(政府)が大量殺戮するある国がアフリカにある。
この国も、対外的には貧国と言われている。
当然、債務超過の国。
この国が、債務超過になった原因は、国のインフラ整備のためではなく、国民を殺戮するための武器購入。
さて、こんな国に債権放棄をしたとして、喜ぶのは誰?

今、3秒に1人の子供が死んでいると「ほっとけない~」は言っているが、これは餓死で死ぬ子供ばかりではない。
内戦で死ぬ子供も含まれる。
件の国の債権放棄をして新たな借金を可能とさせるならば、この国は新たな資金をインフラ整備や国の貧困対策に使うだろうか?
国民を殺戮する新たな武器購入にその資金を当てると考えるのが普通の感性でしょ。
そして、今は3秒に1人死んでいる子供が2秒に1人、あるいは1秒に1人死ぬことになるかも知れないと思うでしょ?(って“思い”を押し付けていいのか。。。?(^_^; )
で、この武器は何処から買っているの?
アフリカで内戦を抱える多くの国は、アメリカ、EU、中国から武器を買っている。
私が例に挙げている国は、その多くを中国から調達している。


日本でホワイトバンドを買うことによって、中国にお金が流れる。
そのお金を使って中国は設備投資をして武器を作り、債権放棄で余裕ができたアフリカの某国に輸出する。
中国は潤うかもしれない。
でも、アフリカの某国は?

債権放棄によってせっかく出来た資金余裕は武器を買うことでなくなり、その武器でまた国民の殺戮が繰り返される。
それが本当に貧国を助けることになる?
運動の主催者は貧国を“アフリカ諸国”と位置づけているけど、中国を潤し、アフリカで国民が殺戮されることを援助することが本当にアフリカの貧しさを助ける事になるのかしら?
私にはそう思えない。
寧ろ、3秒を2秒にする、人殺しを支援しているように思えるのよね。


イギリスの対アフリカ債権は1000万ドル。
2004年のイギリスの対アフリカ武器輸出額は18億ドル。
対する、日本の対アフリカ債権は90億ドル

この運動が始まったイギリスの債務って、日本の1/900。
桁が、ほぼ3桁も違うのよ。
それだけじゃなく、イギリスが武器輸出で儲けている金額は債務の180倍。
って事は、もしかして、イギリスって債務放棄しても何の痛みもないんじゃない?
おまけに、武器を買ってもらえれば何倍にもなって帰ってくる。
1000万ドルを捨てても、18億ドルが債務不履行にならずに戻ってくる可能性が高い。
これって、武器輸出国を助けるための運動?と勘ぐられても仕方ない。
イギリスやアメリカの様に自国に影響の無いところで戦争を起こして自国に利潤をもたらすビジネスモデルを持つ国家と、国家の繁栄を武器輸出に求める中国を支援して、本当に人類の平和と安全は護れるの?
殺戮者に武器を与える事になる活動が、3秒に1人死んでいく子供を本当に護れるの?
「ほっとけない~」はその答えを示してはいない。


もう一つ疑問なのが、この運動のロジック。
世界には1日1ドルにも満たない生活費で生活している国がある というもの。

??
貨幣価値は、貿易の場に於いては対ドルでの比較は有効かもしれない。
でも、対国内で見るならば、それで生活が成り立つならば部外者がどうこう言うことではない。

中国でも、年収2000円(日本円換算)で3世代5人の家族が生活している地域がある。
それでも、食べて、着て、生活できている。
余裕のある生活ではないかもしれない。
でも、日本では1人で1ヶ月も生活できないような金額でも、貨幣価値の異なる国では5人が1年生活できている。
日本政府が1人当たりの(最低限の)年間生活費が280万円としているのであれば、中国のその地域の2000円は日本の貨幣の280万円に匹敵する。
(日本に比べ)それだけ中国のその地方の貨幣価値が高いと言うこと。
一律に、アメリカや日本の様な貨幣価値の低い国にあわせて収入や生活費を評価するのは間違いだと思うよ。
一人の価値観や思い込みで、文化の違う国の事情を図ってはいけない。
そんな思い込みで、善意のつもりで偽善をおこなってもいけない。
私はそう思うのよね。。。

Comments:5

ゆりかりん 2005年10月26日 03:18

おっしゃるとおり!

偽り・・・の巨額投資? と言うか、
それ自体、日本のバカ公務員の妄想と申そう・・・。(笑うしかないっしょ?)

誰も止められないわけは・・・?

それを行うことによって巨額のキックバックを得られる連中がいる・・・とい
うことだけ。
(我が国家の恥は、ニートでも、殺人者でもなく・・・)

ゆりかりん 2005年10月26日 03:51

・・・偽善者の免罪符なわけで。

今も昔も、日本が最も恥じるべきは国家公務員。

奴等は、然るべき対価(給与)に応じた仕事(労働)を果たしてないのよね、まず。
(仕事をすれば、我が身が滅ぶ・・・とでも思っているかのように)

そのおかげで、この公務員達は、彼らの共産主義的非生産的システムの結果、
当然のように如何なる営業努力もないまま、取れる所から搾取に次ぐ搾取を重ねた挙句、
日本国民は有無を言わさず、勿論だけど、
民間企業の精いっぱいの(リストラやらの)果ての日本経済の成長(底上げ努力)を、
見事にマイナスに転じるマジシャンにまでなっているのだからね。

本当に、素晴らしい~!
・・・としか言いようがない!

こうした公務員の実にアホらしいシステムを根底から改革しない限りは、
中国や北朝鮮をバカに出来ないどころか?
日本の民間企業や国民が、如何に痛みを強いられたとしても、
国力は火を見るよりも明らかに低下していくだろうね。

そうした、国家的脆弱性の根源・・・つまり国を滅ぼそうとしている原因が、
国家公務員達の乗っかっているシステムなのだ!・・・と言うことに、
もう躊躇なくメスを入れない限りは、経団連だって存続の意味を見失うだろうし、
第一に、公務員達の横領・賄賂だけが横行した挙句に、
日本国民達は(中国の平均所得者層よりも)瀕死の生活状況を
余儀なくさせられてしまうかも・・・?
(・・・言い過ぎ・・・だと思われている方が楽だけど、
落ちる時には、あっという間。 バブルみたいに・・・)


ゆりかりん 2005年10月26日 04:05

↑ゴメンナサイ!
キツイ風邪薬&酒のせいで、ぜんぜん論点ずれちゃった。。。

ヨシムラさん 2005年10月26日 06:17

ワシは単に「飽きたから」外した。

米英に限らず、戦争ビジネスしている国は世界的には普通なワケで、コンピューター技術なんかもアメリカから出せないモノがけっこーある。カネに色は付いていないので「コレは何々用、コレは何々用」と区切ってみたトコロで、それが実際にどう使われるかは使う側が決めるコト。でもそれを、何がしかの根拠をもってチェックするのが(表面的には)戦争ビジネスに関わっていない日本のよーなトコロがやるべきコトで、特に新聞社あたりはそれを率先してやらないとならない。

毎日新聞の記事は読んだけど、問い合わせが多く来ているという表面的な事象についてだけ記事になっていて、それを深く掘り下げているコトは無かった。各国のアフリカへの債務の金額なんて、インターネットで5分も調べりゃ主要なトコロは分かると思うのだが。

COO 2005年10月27日 01:18

>ゆりかりんさん
 ずっと風邪をひいているみたですが、大丈夫ですか?
 身体、大事にしてくださいね。


>ヨシムラさん
 このエントリを改めて読み返すと、前日の続きで書いてしまって、
 なんだかホワイトバンドをしている人を批判するようなエントリになってしまいましたね(^_^;
 
 団体の趣旨に賛成というだけでなく、ファンションだとしても、個人で納得して身に着けている消費者を批判する意図はなかったのですけどね。。。
 PR会社にしても、自分の会社で抱えるタレントを使ったイベントに使えると、ビジネス上の計算をした結果で
 その会社が人件費の安い中国でイベント商品を作ることはごく自然だと思います。
 ただ、主催団体が、PR会社が中国で商品を生産する事と、自らの運動の趣旨があっているかのチェックをしないこと、
 さらに、自らの提唱する運動そのものが目的を達せられないというか矛盾を孕んでいる事
 そういった事が気になると書きたかったのです。。。
 でも、いつも、大上段に構える癖があっていけませんね。。。(^_^;)
 主催団体に、私の嫌いな人権屋団体が協賛しているので、つい感情的に書いている部分もありますね。。。(^_^;


 お金には確かに色は付いていないし、
 お金が犯罪同様、戦争ビジネスに流れないようにチェックするのが
 非戦国家を標榜する日本の意義だというのは、おっしゃるとおりです。

 毎日新聞は、その私の嫌いな人権屋団体を支援する立場をとっていることも多いので、
 今回の件も、お金の使途や団体の行動の結果に言及する事はないのかなと
 個人的には思います。
 ただ、その団体が、将来“詐欺”だと言われないためにも、
 “貧国に対する”募金ではなく、“活動家(団体)に対する”募金だと
 消費者に知って欲しかっただけなのでしょう。

 私たちがマスコミに求める“報道”のあり方とは違いますけどね。。。

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