- 2006年5月 1日
- 01.時事寸評
以前、タクシー業界のIT化に関する仕事をしていた事がある。
規制緩和でタクシー業界への参入がしやすくなったにも関わらず、景気がイマイチでそれまで需要の中心だった法人が経費削減でタクシー利用を控えていた時期だった。
タクシー会社各社はITと言っても、導入する予定も予算もない時期だった。
業界の色々な施策も、決してタクシー会社に“儲け”をもたらすものではなく、それをしなければ“反社会的”とみなされて売上が限りなくゼロになるのを恐れてのものだった。
ある会社の社長さんは「(それを)すれば赤字になるけど、しなければ売上がたたないから」と言っていた。
何か新しい事をするたびに、身を切り、血を流すようだった。
<JTB>コンビニで新タクシー券を発売
JTBは1日から、全国の主要コンビニエンスストアで個人向け新タクシー券「タクのりチケット」の販売を始めた。1枚1000円のプリペイド方式で、1050円分利用できるお得さが特徴。全国のタクシー会社110社(約9000台)で利用可能という。コンビニでのタクシー券販売は初めて。
購入できるのは▽セブン―イレブン▽ファミリーマート▽ローソン▽サンクス▽サークルK▽スリーエフのうち、対応可能な端末を備えた店舗。
利用者は自分で端末を操作して券を購入し、タクシー降車時に運転手に渡す。ただ、おつりを受け取れないため、1000円未満の端数は現金払いになる。有効期限は購入時から1カ月で、利用後の半券を5枚集めると100円分利用できる特典もある。
今年度の販売目標は2億円。07年度には利用可能なタクシー会社を200社(1万5000台)まで増やし、6億円の売り上げを目指す。
利用可能なタクシー会社は、専用ホームページ(http://www.jtaku.com/jtb/cvstkt.html)で確認できる。【小倉祥徳】
(毎日新聞) - 5月1日20時44分更新
1000円で50円の割引、5回の利用でプラス100円の割引となると、実質5000円のプリペイドで5350円分の利用が出来る。
JRや営団地下鉄などのプリペイドカードより利用者にとって効率がいいね。
ただ、1000円未満でおつりが出ないというのは、使い勝手が悪いかも。
おつりがでないまでも、利用分を差し引いて次回も使えるようにした方がよっぽど利用者が増えると思うのだけどなぁ。。。
ここにも、タクシー業界の“装置”にお金をかけられない事情が影響するのね。。。
タクシーにとっては長距離客が好まれるのは今も昔も変わらない。
でも、“経費”が縮小されて、タクシー代が槍玉に挙げられる会社も少なくない。
となると、社用ではなくて個人(プライベート)利用に主眼を置いたサービスが出てきてもいいと思うのだけど?
人って、社用では大盤振る舞いしても、プライベートでは締り屋になる人が多い。
そういう意味では、繰り返し利用ができて、割引があるとなれば、個人利用も期待できるのにね。。。
プリペイドという形で料金を払っているのだから、タクシー利用にかんする心理的な壁だって低くなるのにね。
それに、社用だって、繰り返し利用ができて、利用実績が把握できれば利用しやすい。
利用分を引き落とすだけなら、駅の改札にあるような機械ほど大袈裟でなくても出来るような気がするのだけどなぁ。。。
いい試みだと思うだけに、利用者にとって使いやすいシステムになることを望むわ。
そうすれば、タクシー利用者だって増えていくと思うもの。
。。。
千葉では、このカードは使えないのね。。。
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Comments:2
- まる 2006年5月 3日 22:26
うはー、1000円以下がダメってのは痛すぎるなぁ。
この仕様ってタクシー業界の顧客のどの層を捕まえようとしているのかな?
やっぱり、社用かな?
私は、基本的に公共交通機関を使うか歩くタイプなんだけど、プライベートで使用する頻度が高いのは、子供連れで色々な事情で仕方なく最寄り駅から自宅まで、またはその逆ですよ。
それこそ、1000円に僅かに届かない金額。
うちは使えないな。
手の掛かる子連れ家族の利用形態の典型だと思うんだけどなー、タクシーにとってみれば効率悪い客だけど、そう言うのも客として拾ってナンボでしょ?割引率は魅力だけど、1000円未満の端数を扱えないってのはどうよ。
お釣りなんか良いから、カードの度数をさっぴく位出来ないのは理解に苦しむ、、、、、、と言うか自分の金をプリペイドで支払っているのに、のに、のに!それを1000円以下になると使えなくって、仕様の関係で現金で支払ってくださいと言うのは、ユーザーの理解は得にくいんじゃないかねぇ。
と他人事ながら思う。なんでもかんでも最近はCSCS。顧客視点で!が決まり文句なので、何かこう言う独りよがりな仕様は新鮮な感じ。
まぁ、色々制約があるんでしょうな。
- COO 2006年5月 4日 01:43
>まるさん
コンビニでの販売となると、社用というより個人利用を狙っているように見えますよね。
でも個人利用だと、やはり“おつり”が出ないというのがネックになりますよね。個人利用で多い利用形態は、やはり子連れのご家族、特に荷物の多い乳幼児連れの家族が自宅まで。
この場合は、大体2000円ぐらいまでは利用の許容範囲みたいです。
このケースだと、割引があればお得と感じる?
次は、ワンメータ程度の距離を3~4人で、というもの。
東京の均一区間だとバスが200円だから、3人で乗ればトントン、4人ならちょっとお得。
ただ、どちらの利用の場合も事前にカードを買っておくことはしないですよね。。。タクシーの利用が頻繁な人が、近距離でタクシーに乗るのに1万円札を崩す場合に
不要なものを買うより、プリペイドカードを買うというケースが考えられるのかなぁ。。。今や、個人経営の美容院のような処でもポイントシステムが入っていて、
書き換え可能なカードにポイントを書き込みするようになっていたりするので、
タクシーのプリペイドカードも、ポイント(利用料)を削って書き換えるなんて、
簡単にできるでしょう。
でも、タクシーにはその書き換えの為の機会を入れる余裕がないのでしょうね。。。全国比で比較的儲けの多いと言われる東京都のタクシー事業者の粗利率って2%程度なのです。
間接費を引く前の利益が2%だなんて、一般の業界では考えられないですけどね。
東京でドライバー1人辺り1日の平均売上が2万円ちょっと。
大阪だと1万5千円程度。
1台の車を複数のドライバーで使用するので、車の稼働日数が1ヶ月30日としても、
東京で車1台辺りの1ヶ月の粗利が12000円。
仮に30台持っていたとしても月に粗利が36万円ですね。
タクシー事業者で車を30台も持っている処は少ないので、実際はそんなに稼いでいない。
そんな中から新たな“機械”を入れる余裕はなかったと言うのが本音ではないでしょうか。。。紙のタクシーチケットは換金するまでの事務がかなり煩雑だったと聞きますから、
将来紙のタクシーチケットに替わるものとして、間接経費の削減を図ったもので、利用者にとっての利便性は二の次になった感じですね。。。
あら、そうなると、ターゲットは社用族?(笑)
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