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【砂と霧の家】誰も悪くないのに、誰も幸せになれない。。。

水曜日は映画の日。
今週は、「砂と霧の家」
「世界中を嗚咽させた、今世紀、もっとも美しい悲劇」との宣伝に釣られて行った訳では美しい風景映像と、美しい女性(ジェニファー・コネリー)を期待して(笑)


離婚後、荒れた生活を送るキャシー(ジェニファー・コネリー)は、父の形見である家を税金未納により郡に差し押さえられ、競売に出されてしまった。
見に覚えのないキャシーは家を取り返すために奔走し、後にこれが行政のミスによるものだと判明する。
しかし、この家は既に、イランから亡命してきたベラーニ(ベン・キングスレー)が投資目的で購入した後だった。
キャシーは家を取り戻そうとするが、ベラーニは頑として受け容れない。
キャシーと惹かれ合う警官も絡んで、事態は徐々に悲劇の色を深めていく。

う~ん。
見終わって、重苦しい気分になる映画だった。
キャシーの自堕落からの回帰というより、ちょっとしたボタンの掛け違いから運命に翻弄される哀れな人間同士の衝突と言うのかな。
誰も悪くないのに、誰も幸せになれない。。。


以下ネタバレあり。

冒頭近く、母親からの電話に答えるキャシーをみて、彼女がアルコールか何かの中毒で鬱病状態なのがうかがえる。
後に、彼女自身が「お酒ではない」と言うから、もしかしたら睡眠剤かなにかの薬物中毒なのかもしれない。
そして、キッチンやテーブルには食べたお皿や、インスタント食品が片付けられずに溜まっている。。。
私自身も経験あるけど、気持ちが疲れている時って、家の中の事を何もする気になれない。
食事もインスタント物や、出来合いの物が多くなり、使った食器類もシンクに溜めたまま。。。
一歩間違えると、将来の私の姿かもしれない。。。(って、キャシーの方が若いけどね 笑)

そして、郵便物を何にもチェックせずに置きっぱなし。
これも、私も同じ。
だって、興味のない勧誘や商品販売のDMばかりなんだもの。。。(^^;
勿論、請求書類はちゃんとチェックしているけど、キャシーは自分に納税義務があるとは思っていなかったから、郡からの納税の督促状も数ある勧誘DMの一つに見えたのかもしれない。
それがある日突然家を追い出される事になって、彼女にとっては青天の霹靂だったんだろうな。
それでも事態を把握できていないかの様なキャシーだったけど、お父さんの大事な形見である家を取り戻すために動き始める。
母親が家へやってくる日までに。。。

お兄さんには相談に乗ってもらおうと電話しているのに、キャシーはお母さんには何故か甘え切れていない。
この親子関係は何だろう?
キャシーにとって、お父さんに対する感情より、お母さんに対する感情の方が希薄な感じがするのが気になった。
この疑問は、最後まで解決はしないのだけど。。。


ベラーニ元大佐は、最初は悪役に思えた。
意志は強そうだけど、とても頑固。
絵に描いたような退役軍人。
思い通りにならないと、妻に暴力を振るう。。。

だけど、イランからの亡命者で、まっとうな移民ではなさそうなベラーニ。
ベンツに乗り、ホテルで暮らすなど、裕福な生活を装ってはいるが、その実は、道路工事の肉体労働者で、夜食のスニッカー代でさえ自分で家計簿に付けるような慎ましい生活を強いられている。
アメリカに亡命してからの生活は、まともな仕事には就けないからか、不動産の転売でかろうじて生活を維持しているというところか。
公式HPには、“家族の幸せの為に”キャシーの家を手に入れたとあったが、どうなんだろう?
私は其処までは読み取れなかった。
手に入れた家は、直ぐに転売しようとしている。
競売品を買ったのは、市価より安く手に入れるため。
目論見では、市価の1/3だったけど、業者に鑑定させると4倍の値段を付けた。
だから、キャシーへのミスを認めた郡が家を買い戻そうとした時には市価相当での買い戻しを要求した。
それは、彼の立場では当然だと思う。
元々彼は善意の第三者なのだから、機会損失を受け入れる必要はない。
キャシーに同情はしても、彼には自分たち3人の生活を維持すべき責任があるのだから。。。


誰も特別な事はしていない。


あぁ。。。特別な人が1人居た。。。
キャシーと出会って妻子を捨ててしまう警官レスター(ロン・エルダード)。
出合って数日のキャシーに何故其処までのめりこむのかは解らないが、妻子を捨てた事だけでなく、彼の全てにの行動が異様なくらい浅はかだ。
ボタンの掛け違いのそもそもは郡の行政ミスだけど、彼が居なかったらここまで皆が不幸にならなかったのでは?と思える。。。

家を取り戻すことが出来なくて自暴自棄に陥ったキャシーが自殺を図った時、彼女の家に対する執着と哀しみを知ったベラーニは取得価格で郡に売却してキャシーに家を返す事を決断する。
そんなベラーニの心をしらないレスターがキャシーの為に良かれと思った行動が新たなボタンの掛け違えを起こし、悲劇を引き起こす。
この男が居なければ、もっとすんなり解決したのに。。。と思ったのは私だけじゃないだろう。


誰も悪くないのに、皆が不幸になってしまう。
なんともやるせない。。。
やるせなくて、涙もでない。
強いて救いを探すならば、キャシーだけが最後に霧の向こうに光が見えたぐらいかな。
霧と砂の家の砂とは、悪意のない人にこんなにも簡単に壊されてしまうもろい家族の事だったのだろうか。。。?


こちらの方々も感想をお書きです。
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Comments:7

月の風 2004年12月12日 01:06

「砂と霧の家」にTBをもらうことが少なかったので、ちょっと、嬉しかったのですが、リンクが切れてましたので、削除しました。
こちらへは、検索エンジンを使って探してきました。

映画の話が色々出来るといいですね。
今後も宜しくです。

COO 2004年12月12日 02:10

本当に。。。
他の方の所も、リンク切れを起こしていますね。

懲りずに、映画のお話を色々させていただければと思います。

今後ともよろしくお願いします。

kasiko 2004年12月12日 16:41

移転しても、雰囲気変わらず(^^)
わからないぐらいですね。

この映画、映画紹介の番組で見ました。
ちょっと残酷そうな映画だなって思ったんですけど・・読んで、TV放送待ってます。

COO 2004年12月12日 16:53

そうなんです。
初めは、あちらからいらした方になじんでいただけるように、
雰囲気を同じにしてみました。

ただ、表示に時間がかからないように、
こうさぎとか、その他のアクセサリを右に置き換えて見ました(^^)

onox 2004年12月24日 01:12

どうも,こんばんは.
これ,結構な悲劇ものですよね.
最初は単純な感動物だと思って観に行ったのに,
まさかこんなに重い作品だったとは,って感じです.

COO 2004年12月24日 02:36

そうなんです。
私も最初は、「美しい涙が流せる」だなんて宣伝に釣られて、
単なる感動モノかと思っていたのですが、
見終わって、なんだか重苦しい気分になる映画でした。。。

xem phim online 2017年9月24日 06:02

Thank you...

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