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【オペラ座の怪人】豪華絢爛で音楽も美しい

水曜日は映画の日。
今週もやはり映画を観て来た。
今日は、「オペラ座の怪人」。

最も有名なミュージカル「オペラ座の怪人」を完全映画化したと言われるもの。
豪華絢爛で音楽も美しく、ミュージカルの映画化としても最も成功した例といえるんじゃないだろうか。
それにしてもすごい人気。
まだ公開されて1週間も経っていないのに、パンフレットもサントラCD(限定版)も売り切れ。。。


1919年のパリ。
今や廃墟と化したオペラ座で、かつての栄華を偲ぶ品々がオークションにかけられていた。
そこには、老紳士ラウル・シャニュイ子爵(パトリック・ウィルソン)と年老いたバレエ教師、マダム・ジリー(ミランダ・リチャードソン)の姿。
やがて、謎の惨劇に関わったとされるシャンデリアが紹介され、ベールが取り払われると、ふたりは悲劇の幕開けとなった1870年代当時へと一気に引き戻される。

当時オペラ座では謎の怪人の仕業とされる奇怪な事件が続いていた。
そんな怪事件が元で役を降板したプリマドンナのカルロッタ(ミニー・ドライヴァー)の代役を務めたのが亡き父が授けてくれた“音楽の天使”の指導で歌の才能を伸ばしてきたバレエダンサーのクリスティーヌ(エミー・ロッサム)だった。
初舞台は成功し、喝采を浴びた彼女は幼馴染みのラウルと再会する。
再会を喜び合うも束の間、彼女は仮面をかぶった謎の怪人・ファントム(ジェラルド・バトラー)にオペラ座の地下深くへと連れ去られてしまう
クリスティーヌは、ファントムを亡き父親が授けてくれた“音楽の天使”だと信じてきたが、地下の隠れ家で仮面をはぎ、その正体を知ってしまう。


以下ネタバレあり。

1919年、オペラ座だけでなく、町全体が廃墟のよう。
それもそのはず、1919年といえば、パリ講和条約締結の年。
ヨーロッパが戦場となった第1次世界大戦が終わったばかりだものね。
なんて思いながら見始めた。。。

オークションにかけられるシャンデリアのベールが取り除かれ、天井に上っていきながら舞台が一気に1870年代に変わる。
戦後の荒廃をイメージさせるモノクロームから、豪華絢爛、明るく華やかな世界に変わる場面には、ゾクゾクさせられた。
いや、ワクワク感というのかな。
勿論、パイプオルガンが奏でるあの音楽の効果もあるのだけどね。


オペラ座の怪人は1987年にロンドンのハー・マジェスティ劇場(Her Majesty's Theatre)で見た。
ロンドンでも1986年に初めて上演されたミュージカルだけど、私がロンドンに旅行した時には既に日本でも劇団四季が上演していた。
当時既にかなりの評判だったから、“これは是非本場で見なければ”と思ったのよね(笑)

映画はそのミュージカルの完全映画化といわれていた。
でも、何となくストーリーが違うように感じたのよね。。。

1番の違いはシャンデリアが落ちるシュチエーション。
ミュージカルでは、確か、"イルムート"で主役の伯爵夫人を演じたクリスティーヌに向かって(実際は観客席に向かってくるように感じる)落としたはず。
それが、映画では、“ドン・ファン”の最中、クリスティーヌをさらっていく場面でシャンデリアを落とすのよね。
その結果、オペラ座が火事になる。
冒頭のオペラ座の荒廃はその火事の所以かと思わせられた。。。(^^;

また、ミュージカルでは、ファントムのクリスティーヌに対する愛は“純愛”に思えた。
コレは、私の英語の理解力不足によるのかもしれない。。。
でも、源氏が若紫を育てるような、父の愛と男の愛が混じっていて、クリスティーヌとラウルの恋にジェラシーは感じるものの、より大きな愛があったように感じていた。
もっとも、クリスティーヌにプライドを傷つけられたファントムはクリスティーヌに“復讐”をするのだけどね。。。
映画のファントムの愛は、クリスティーヌ自身が言うように捩れている。
クリスティーヌがファントムの人格を否定するような事を言ったのは、オペラ座が火事になった後。さらわれた後だ。
だからファントムがオペラ座に火をつけたのは、プライドを傷つけられたからではなく、ラウルにクリスティーヌを奪われるのが嫌だというジェラシーからの行動と言う事になる。
なんだかストーカー的で納得がいかないなぁ。。。

で、最後。
クリスティーヌが、ファントムに対して「ずっと惹かれていた」と唐突に言うのもヘンだし、“貴方は人格が歪んでいる”と言った時、「貴方の望みは歪んだ肉欲」と言ったのもなんだか唐突。
さらわれたクリスティーヌを追ってきたラウルが、ファントムに殺されそうになった時に「私を裏切らないでくれ」言うのもおかしい。
ミュージカルでは、クリスティーヌに対する男性2人の“純愛”を感じたのに、これでは純愛とは言えない。。。
と思ったら、公式HPのBBSでも話題になっていて、これは誤訳らしい。
「ずっと惹かれていた」は「貴方は孤独ではない」で、「私を裏切らないでくれ」は「私の事は考えなくていいから、(クリスティーヌが生き延びる為に)彼を愛すると言ってくれ」だったらしい。
それなら納得。
多分、「貴方の望みは歪んだ肉欲」も「飢えた悪魔の餌食」だったんだよね。。。
このシーンって、3人が互いに言い合っていて、英語のセリフが聞き取りにくくて、つい字幕に頼っちゃったのよね。。。(^^;
でも、本来の意味とは真逆の意訳はダメでしょう(笑)

他に突っ込みどころとしては、クリスティーヌが舞台で口をぽかーんと開けている所と、雪の日の夜に胸元を大きく開けた服でお父さんの墓所に向かう所かな。
寒さに強い私でも、雪の夜にあんな格好じゃ外に出ません(笑)
あとは、冒頭のオークションのシーンで6tもあるシャンデリアをたった1人で持ち上げるのはあり得ないと言う所かな(笑)
映画で使われたものは2tだったらしいけど、2tだとしても1人じゃ持ち上がらないよ。。。(笑)
そうそう、冒頭のオークションのシーンでは、1870年代に10代後半の娘(メグ)を持つ母親だったマダム・ジリーとラウルの年齢と老化の度合いが。。。?
公式HPを見るまで、あの女性は娘のメグだと思っていたのよね。。。
なんで、ラウルよりマダム・ジリーの方が若いのだろう?
16、7の娘を持つ母親なら40歳前後だと思うのだけど、1870年代に40歳だとして、40年後は80歳近いよね。。。
あの女性はどう見ても60代にしか見えないのだけど。。。


全体に辛口の批評になってしまったけど、映画そのものは面白かったと思っている。
辛口になったのは思い入れが強かったから。
冒頭のシーンは舞台ではああはいかない。
オペラ座の舞台を色々な角度から見せるシーンや、役者の表情をアップ見るのも映画ならでは。
そういった映画ならではの手法は充分楽しんだし満足している。

無垢な美しさを持つクリスティーヌにエミー・ロッサムは適役だったと思うし、7歳の時にオペラの舞台に立ったというその歌唱力もさすがだ。
ファントムのジェラルド・バトラーは歌はちょっとだったけど、声はイイ。
目をつぶってあの声を聞いても彼に惚れてしまうかも(^^)
そういう意味では、ラウルがちょっと物足りなかった?
単独ではいい役者だと思うけど、今回は2人のキャラクターに負けていたかも。
あぁ。。。最後まで辛口になっちゃった。。。(^^;

口直しに、好きなシーン(笑)
湖の様な地下水路をファントムとクリスティーヌが舟にのって渡るシーン(此処はミュージカルでも一番好きだった)と“マスカレード”、そして最後のお墓にあるバラ。
ラウルは、オークションでサルのオルゴールを落とした時にファントムのクリスティーヌに対する愛情に思いを馳せたのだと思う。
懐かしさと共に、同じ女性を愛した相手に“同士”の様な感情を持ったのだと思う。
そして、クリスティーヌのお墓にバラの花が供えてあったのを見て、彼の愛が未だ続いているのを感じて嬉しく思ったんじゃないかな。。。
って、実はメグ(もしかして、マダム・ジリー?)が供えたんじゃないかと思ったのは内緒♪


##おまけ  2003年にオペラ座で撮ったもの。
当時のオペラ座の外観
当時のオペラ座の外観

シャンデリア(当時の天井画は当然シャガールではないですが。。。)
シャンデリア

エントランスの階段エントランスの階段

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Comments:14

distan 2005年2月 4日 03:07

TBありがとうございました。
「オペラ座の怪人」が、洋画では、
今年のトップになるような気がしています。

COO 2005年2月 4日 04:00

そうですね<画では、今年のトップ

私はかなり辛口に書きましたが、
それでも、何度でも観たい映画ですよね。

nicoco 2005年2月 4日 07:44

TBありがとうございました(〃∇〃)
ゴージャスでしたね~♪私も本日2回目に挑戦です!(*^。^*)
ラウルが何故冒頭の部分でマダムより老けて見えるのか?ですが。。。
ラウルの妻を失った喪失感から年よりも老けて見える・・と言う解釈がなされてるのが多いみたいですよ♪

COO 2005年2月 4日 12:45

私も、もう一度見たいと思っているのですが、
この映画はリピータが多いようですね。


マダムが若いのではなく、ラウルが老けているのですね(笑)

nicoco 2005年2月 4日 16:03

又遊びに来てしまいました♪
色々な記事を読ませていただいています(〃∇〃)
とても話題が豊富ですねえ~!ゆっくり時間かけて読ませていただきます!大事に記事を書かれているのがすごくよく解ります。
読ませていただく側も大事に読ませていただきますね(*^。^*)

あ!マダムが何故あんなに若いの~?に・・バレエの講師だからしっきっとしてるんじゃない?と友達が言っておりました・・(;^_^A そうかもしれませんねえ・・^^;私の母はバレリーナでしたが、相当若いですもの・・笑!私のが年とるのが早そうです・・・(⌒o⌒;A

かしこ 2005年2月 4日 17:42

実は私も色々思うことがありました。ファントムがたとえ醜い顔の持ち主だとしても心が曲がりすぎてるとか、、クりスティーヌのファントムに対する物言いはなんだとか。。私はエミーロッサムが若すぎて愛の感情表現が今ひとつであったように思うし、、官能的表現もなかったのでどのくらい深い愛をお互いに交わしたかが描かれていないと思いました。ファントムの声はセクシーでしたよ。「ドラキュリア」借りてきました(*^_^*)

COO 2005年2月 4日 21:12

>nicocoさん

 長い文章が多いので、お時間のある時にどうぞ(^^)

 確かにバレエをしている人は、背筋がピント伸びて、
 筋肉が柔らかそうで、若く見えますね。


>かしこさん

 全体に言い出来なのに、突っ込みどころは満載でしたね(笑)

 クリスティーヌも17歳と言う設定なので、
 実際、あまり官能的でないのが本当かもしれませんね。

 舞台を見たときにはそこまでは思わなかったのですが、
 ファントムとの係わり合い方を見ると、
 クリスティーヌはファントムに父親を見ていたのだと思うのですよね。
 そして、ファントムも父の愛で応えた。

 人から愛された経験のないファントムが、
 父(としての)の愛と恋人の情愛の区別ができなくても不思議ではないし、
 ファザコンのクリスティーヌが父の生まれ変わり(身代わり?)の
 “音楽の天使”に淡い恋心を持っても不思議ではないですものね。。。

 私も、パーフェクトガイドを買わなければ。。。(笑)

「あ」嬢 2005年2月 8日 10:31

こんばんわ、COOさん。
拙宅へのTB & コメントどうも有難うございました。
ツッコミどころも満載なのですが、それでもやっぱり
観たくて観たくて、とうとう3度目を観に行ってしまいました。
でも日本語字幕の誤訳は、ちょっとひどいですね。
びっくりです。
またお邪魔させて頂きますね。
(TBもさせて頂きました!)

COO 2005年2月 8日 16:54

早速3回目の鑑賞記を拝見しました(^^)
日本でも何度も観に行く人が多いですよ。

墓碑銘の「Be Loved Wife and Mother」は
日本では字幕でクローズアップされていましたよ。
何て訳されていたか忘れてしまいましたが、
「よき妻、よき母として生きた」とあったかな。。。

「あ」嬢 2005年2月 9日 10:15

拙宅への再訪&コメントどうもありがとうございました。
「メグ説」に光明が射したので嬉しかったです。
...もう、誰が何と言おうとワタシ的にはオークション会場に
いた「マダム」はメグだと断言したいです(笑)。

年金のお話とか気になる記事もたくさんあるので
またお邪魔しに来ますね。

COO 2005年2月 9日 18:40

> ...もう、誰が何と言おうとワタシ的にはオークション会場に
> いた「マダム」はメグだと断言したいです(笑)。

私もです!(笑)

この日記は少々長すぎるのが難ですが、またどうぞ。

あがパン 2005年2月 9日 22:43

TBありがとうございます!
とっても詳しく感想を書いていらっしゃいますね。
私も、ファントムのクリスティーヌへの思いは「父」であり「師」の部分が大きいと感じました。
それと同じか、それ以上に異性としても意識していたんですね。
複雑だなあ。

あと、ラストでお墓にバラを置いていたのはマダム・ジリーかも、というのは全く考えていませんでした。
十分有り得ますね!

もっともっと探りたいんで、また観に行くつもりです。
ではでは、また遊びに来ます!

COO 2005年2月10日 10:41

いらしゃいませ(^^)

ファントムのクリスティーヌに対する感情って複雑ですよね。

父親や師としての愛情と、男性としての愛情。
それから、自らの醜さへのコンプレックスから来る美しさへの憧れもあったと思います。

ファントムの家で、クリスティーヌが醜い自分を受け入れてキスをしてくれた時、
初めて“素直(コンプレックス無し)に”
クリスティーヌを受け入れらたんじゃないかとも思っています。

2回目の鑑賞記、楽しみにしています。

ego depletion 2014年12月22日 04:32

I appologize. My struggle with impulsiveness has been going on like forever. For a long time I was not even diagnosed and now im just strarting to find out how I can manage my symptoms. On a good day I just suffer from lack of concentration, but if I havent had enough medication I can easily start to get very disorganised and even confused. Most of the time I just feel other peoples impatience.
My partner says im better now compared with last year, but i put that down to luck. Alcohol will crash any chance for progress in your path. If you dont find your way back to sobriety you will undermine your whole life. My psychology depends to the extreme on knowing that her life experience is fantastic.

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