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【寝ずの番】上質な下ネタで軽やかな気持ちになれる映画

今日は朝から眠かった。
午前中の打ち合わせは眠気との戦いだった。
午後は少し持ち直したけど、夕方からまた眠気がぶり返してきた。。。(^_^;


今日は、銀座で「寝ずの番」(音が出ます)を見てきた。

俳優の津川雅彦がマキノ雅彦の名で初の監督作品という事で見に行こうと思っていたのだけど、家の近所のシネコンでの上映はもう終わっている。
ネットで調べたら、銀座のシネスィッチで今日まで上映しているらしいので、行ってみた。
シネスィッチって、他の劇場と違って、金曜日がレディースデイなのね。
で、レディースデイの料金も、1000円ではなく、900円。
今日観に行くことにして、ちょっとお得だったかも(笑)


#ストーリー


上方落語の重鎮の噺家の笑満亭橋鶴(長門裕之)が病院で臨終の時を迎えていた。
師匠を見守る弟子たちがなんとか師匠のいまわの願いを叶えようと、一番弟子が聞く「師匠、何か心残りはありませんか?」
耳を近づけ聞き取ったのは「そ○が見たい」との言葉。
一同驚きつつも師匠の願いを叶えようと、一番弟子の橋次(笹野高史)がおとうと弟子の橋太(中井貴一)に嫁・茂子(木村佳乃)を説得するように言う。
夫の説得に応じた茂子は師匠をまたぎ、そそを見せた。
病人にも関わらず興奮した目で見入っていた師匠は「わしはそとが見たいと言うたんや……」と言った。
そしてご臨終。
通夜には師匠ゆかりの人々が集まり、想い出話は尽きることがないのだった。

日本映画界を築いたマキノ省三を祖父にもち、マキノ雅弘を叔父に持つ津川雅彦って、日本の映画界ではサラブレッドなのね。。。
ついでに言えば、沢村貞子さんも叔母さんだものね。
マキノといえば、安室奈美恵やSPEED、MAXが出た沖縄アクターズスクールもマキノ家の誰かが校長だったね。

で、この「寝ずの番」という映画は、原作は中島らもの同名短編3部作を上方落語の噺家の通夜の席で縁のある人たちの人間模様を描いた喜劇作品。
監督のマキノ雅彦が、映画のプロデュースの為に色々な番組に出ていたのを見ていたから、この映画が放送コードに引っかかる言葉を多用しているのは知っていた。
でも、此処まで乱発とはねぇ。。。(^_^;
だって、この映画は文部科学省関連の事業として認められているのよ。
それなのにR-15。
仕方ないけど、ならなんで文部省関連事業???(笑)


主演の橋太に中井貴一、橋太の妻茂子に木村佳乃、師匠の橋鶴に長門裕之、その妻志津子が富司純子。
橋太の兄弟子で師匠の一番弟子の橋次に笹野高史、師匠の長男橋弥が岸部一徳、師匠と志津子を取り合った恋敵の社長に堺正章。
他に、セリフもないちょい役に中村勘三郎(18代)、浅丘ルリ子、桂三枝、鶴瓶、米倉涼子。
セリフがあるちょい役に高岡早紀も。
そして、題字が緒方拳と隅々まで豪華キャスト。

最初から最後までオヤジギャグ的下ネタ満載だったけど、なんていうのかなぁ。。。マキノ雅彦の育ちの良さなのかなぁ。。。
題材にお葬式というかお通夜が使われているけど、嫌らしさのない乾いた感じの下ネタで、バカバカしさと共に粋を感じる楽しい2時間だった。


さて、以下ネタバレあり。

中井貴一はなんとなく生真面目な感じがあるけど、実はコメディ向きなのね。
この映画では、DCカードのCMに通じるというか、それ以上の可笑しさだった。
真面目な顔をして堺正章との歌合戦する姿はイケたよ(笑)
五分刈り頭で地肌が見えるのが、もしかして“薄い?”と気にはなったけどね(^_^;

木村佳乃は、下着を脱ぐシーンで実際に履いていたものを脱いだと話題になっていたけど。。。
その後の吹っ切れた表情がいい感じだったわ。
映画全編を通して、一番イイ顔をしていたんじゃないかな。
気に入らない事があるとものを投げるので、「ウチはポルターガイスト」と橋次が言うのは面白かった。
私も色々投げるから、そのセリフ、ウチでも使おうかしら?(笑)

橋次役の笹野高史の「そ○」(女性器の関西風?な表現)と「外」を聞き違えたボケ具合は面白かったね。
って、聞き間違えた瞬間は寝ていらしく、記憶にないのだけど。。。(^^ゞ
でも、上方落語の重鎮だった師匠より橋次のお通夜が華やかだったのはなぜ?
テレビにより出ていたって事?
ここに、豪華なちょい役のオンパレード。
セリフのない人達は、お通夜の弔問客。
鶴瓶は何か言っていたけど、あの人の言葉は良くわからないからねぇ。。。(笑)
それにしても、飲み屋で拾った色っぽい高岡早紀とのカラミの自慢話をしている最中に死んじゃうなんて、ご本人は幸せだったのでは?(笑)。

夫が「そ○」を見たいと言った時、志津子役富司純子の膨れっ面が可愛かった。
60もとおに過ぎたお姉さまを可愛いというのは失礼かもしれないけど。。。
娘の寺島しのぶより、この人の方がずっと可愛いものね。
天性の可愛さなのかもしれないね。
彼女が歌っていた、「トタン屋根」を「かわらない」として、あなたへの愛情は変わらないよという都都逸はある程度の教養が必要ね。
ジャリンコ君達じゃ判らない言葉のお遊びだよね。

その都都逸を歌って、弟子の橋太に「そんな歌を歌うんですか?」と聞かれたシーンでは、私は「そんな歌」の意味が判らなかったのだけど、芸者上がりのこのお姉さんって本当は艶歌が得意だったのね(笑)
彼女のお通夜では艶歌の歌合戦。
これはこれで面白かったけど、ちょっと冗長で飽きた。
眠気に勝てなかったもの。。。

というのも、歌合戦が終わって(?)汽車ぽっぽ(当然艶歌に替え歌)を歌っている最中に(死んだはずの)師匠が出てきたらしいのだけど、見ていないのよ。。。(^_^;)
師匠といえば、「死人のカンカン踊り」だよね。
死んだのに起こされて、最初はされるがまま(死人だから当たり前)だったけど、途中で目を開けたり、自分で足踏みしたり(^^)
長門裕之ってエロ爺さんの役が多いけど、いい役者さんだよね。
そういえば、彼氏は、長門裕之と津川雅彦が兄弟って知らなかったらしい。
芸風は違う感じだけど、よく見ると顔は似てるのにね(笑)


下ネタ満載なのに、何故か笑えてしまう。
最近の芸人(?)の独りよがりのお笑いは何となく好きになれないのだけど、この映画の大らか下ネタには気持ちよく笑えた。
そして、見終わった後に、なんとなく暖かい気持ちになれる不思議な映画だった。
なんていうのかなぁ。。。
これって、全編に流れる“愛”なんだろうね。。。
監督の、出演者や死にゆく人への“愛”が感じられる映画だった。
(おとうと)弟子の師匠や兄弟子に対する愛情溢れる悪口にちょっと涙がでて、それでも軽やかな気持ちになれる映画だった。
冗長で飽きもあったけど、後味が良い映画と言うのかな。


でもね。。。
この映画、テレビで放送されることはないよね。。。
放送コードに引っかかる言葉ばっかりだもの。。。
そういう意味では、映画館で見る映画だよね(笑)


 寝ずの番@映画生活


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Comments:6

cyaz 2006年6月11日 09:52

はじめまして^^
TBありがとうございましたm(__)m
言葉尻だけを捉えてこの映画を観ると下世話な世界しか見えなくなってしまいますが、監督の意図するところは表現できていたのだと思います。上方落語界の独特の人情味ある世界が描き出されていました。中井貴一のマジメ顔とのギャップ、木村佳乃の体を張ったがんばり(笑)、そのほかの俳優陣も一癖あり楽しい映画になっていたと思います。TVで上映できないところが“ミソ”であり、マキノ(津川)監督が「写真」(昔の人は映画をこういうのですが)を意識して作り上げた作品だと感じました^^

cyaz 2006年6月11日 09:54

はじめまして^^
TBありがとうございましたm(__)m
言葉尻だけを捉えてこの映画を観ると下世話な世界しか見えなくなってしまいますが、監督の意図するところは表現できていたのだと思います。上方落語界の独特の人情味ある世界が描き出されていました。中井貴一のマジメ顔とのギャップ、木村佳乃の体を張ったがんばり(笑)、そのほかの俳優陣も一癖あり楽しい映画になっていたと思います。TVで上映できないところが“ミソ”であり、マキノ(津川)監督が「写真」(昔の人は映画をこういうのですが)を意識して作り上げた作品だと感じました^^

COO 2006年6月11日 23:10

>cyazさん
 R-15ではありましたが、この映画はオコサマが観る映画ではないようですね。
 どなたかのレビューにもありましたけど、
 監督の意図するところを読み取るには、ある程度の“教養”が必要らしいです。
 いい意味で“表面”を裏切る、良い映画でしたね(^^)

師匠 2007年2月17日 01:21

感動しました!
シモネタを “どどいつ” で競い合う場面は
圧巻で、これぞ日本の 「粋」 という感じ。
キャスティングも最高でした。

師匠 2007年2月17日 01:21

感動しました!
シモネタを “どどいつ” で競い合う場面は
圧巻で、これぞ日本の 「粋」 という感じ。
キャスティングも最高でした。

COO 2007年2月18日 16:01

>師匠さん
 なかなか面白い映画です。
 上質の笑いですよね。

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