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行く末を暗示するものなのかもしれない。

何方かのブログで見かけた少し前のこの記事。

若手官僚、留学後の退職多発…費用返還ルール作り悩み

 国費での海外留学後に「霞が関」を去る若手官僚が相次ぎ、人事院が対応に頭を悩ませている。税金の使い道が厳しく問われる中、留学費用の返還に関するルール作りに乗り出したが、これといった決め手がない状態だ。
 入省8年未満の若手官僚を2年間、海外の大学院などに留学させる「行政官長期在外研究員制度」は、行政の国際化に対応する人材を育成する目的で、1966年に始まった。 2004年は129人が派遣され、制度開始からの派遣者は1910人に達している。 しかし、90年前後のバブル期のころから、留学後、数年以内に退職する官僚が増え始めた。人事院によると、98年から2002年までの5年間に派遣された506人のうち、2004年10月現在ですでに45人が辞めている。
 退職者の所属は総務省が11人で最も多く、経済産業省、農水省、国土交通省なども目立つ。外資系企業のヘッドハンティングを受けたり、家業を継いだりと、事情は様々だ。「バブル期は企業の引き抜きが多かったが、最近は『官僚に魅力を感じない』という理由も多い」(人事院関係者)という。


読んだ時から、ずっと引っかかっていた。
と言うのも、似たような話を知っているから。


私が以前勤めた会社でも、会社負担で社員を留学させていた。
そして、アメリカの大学でMBAを取得した社員の、帰国後の退職が多発していた。
私の友人でも何人かそういった人がいる。
彼らに言わせると、「MBAで“問題解決”の手法を学び、会社の現在の経営の問題がよく見えるようになったが、会社を良くするため提案を行った所でそれが採用される事はなく、会社の行く末が見えてしまった」らしい。
さらに彼らは、「会社はお金をかけて、会社に見切りをつける人間を育てている」と言っていた。
そして、その会社は、彼らが“予言”した通り、今はない。

彼らは留学するに当たって、「留学で箔を付けて転職しよう」等と思っていた訳ではない。
留学は勿論自分の為ではあったけど、会社のお金で行く以上、会社へのフィードバックだって当然頭にあった。
それなのに、会社がそれを活かす事が出来なかった。
その会社は、一種、思考停止状態に陥っていたと言えるのかもしれない。

私企業であれば、会社が思考停止に陥ってしまえば潰れるだけだ。
会社が倒産すれば、取引先には迷惑をかけ、従業員も路頭に迷ってしまうかもしれない。
それでも、従業員は新しい働き口を見つけ、取引先は別の会社と取引を始める。
でもこれが、行政だったら。。。
従業員である官僚は新しい就職先を見つけるだろう。
でも、取引先である私たち国民は国と運命を共にしなければならない。
恐ろしい事だ。

お役所は、“留学費用の返還”だなんて小さいことを言っている場合じゃないのかもしれない。
辞めていく職員の本当の理由を調査すべきなのかもしれない。
そしてその理由が仕事や組織への閉塞感や絶望感だとしたら、組織の見直しをすべきなのだと思う。
この記事は、単に費用の無駄遣いというような事でなく、実は国の行く末を暗示するものなのかもしれない。


(3/9 追記)
新聞記者であることを公表しブログを書かれ、私も今まで何度かTBをし、またコメントも頂いた事のあるガ島通信と言う方が、新聞記者をお辞めになるという事を知り、彼の離職の理由は存じませんが、この記事にある離職する人達と同じような匂いを感じたのでTBさせていただきました。

マスコミ批判の多い私ですがガ島通信さんの事は良心的なマスコミ人だと思っています。
新聞社をお辞めになったことは残念に思いますが、よりご活躍できる職場が見つかるよう、お祈りしています。

Comments:2

kuraki 2005年3月 7日 22:20

あぁ…これはたしかに一時期かなり話題になりました。
でも、その見切りをつける人の気持ちはわからないでもないです。
はっきりいって、留学いかなくても…見切りはついている部分ありますね。
僕は勤務してもう10年たちますが、さすがにこんだけいると色々なことが見えてきますからねぇ。
ただ、留学費用ってけっこうなお金をかけているわけですから、それをやはりフィードバックしてもらって、よりよくしてもらわないと困りますよね。

COO 2005年3月 8日 11:05

そうですね。
留学が、単に官僚のインセンティブではなく、
国の税金を使って行く以上、組織と国、国民にちゃんとフィードバックして欲しいですよね。

それにしても、留学に出す方(組織)も、もう少し活かす手はないのでしょうかね。。。

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