- 2005年3月10日
- 01.時事寸評
最も成功した“社会主義国家”と言われる日本。
政治・経済の面だけでなく、今度は言論封鎖の面でも、社会主義国家の定石を行く?
世の中が、って私も含めてだけど、「livedoor VS フジテレビ」に気をとられている間に、あの悪法、かの悪名高き「人権擁護法案」がゾンビのごとく復活していた。
そして、今日、その法案の自民党内での了承が先送りされた。
この法案って、3年前に廃案になったハズ。
もっとも、廃案になったのは“議論を尽くした”結果ではなく、“議論途中”で議会が解散してしまったからで、法案を提出した法務省にとっては“今度こそ”だったんだろうね。
前回提出の法案から、全く修正なしで提出されたんだものね。
この法案、元々は国連からの入国管理の職員や警察官などによる人権侵害の救済勧告がその発端だった。
簡単に言うと、先般話題になった、刑務所での職員による囚人への処遇が問題だった。
そして、国内世論が、マスコミによる「ペンの暴力」というか、事件被害者に対するマスコミ取材攻勢による日常生活の破壊やその他の人権侵害、また未成年加害者の親兄弟や親類縁者への人権侵害といったマスコミによる“人権侵害”に抵抗する世論が盛り上がって、立法化が支持された。
それが法案になると、こうも形が違うものになってしまうのか。。。
今、提出されている法案の問題点は3つある。
1つは、そもそも問題となった入国管理職員や警察官などの公的権力による人権侵害についてはなんら規定は無い事。
そして、もう1つはマスコミによる人権侵害の救済については“凍結”になってしまった事。
そしてその“凍結”解除には、新たな立法が必要だとか。
これって、そもそもの目的を全く達成してない法律って事だよね。
そして最大の問題点。。。
法務省は、この法律で全国に2万人もの“人権侵害”に関する“情報を集める”組織を作って何をするの?
その“組織”に属する人達って、それが生業ではない。お給料は払われない。
と言う事は、他に生業を持っている“人権オタク”な人をあつめて、“人権侵害”に関する“駆け込み寺”を作ろうとしている事だよね。
それも、公権力や、“社会の公器”を自認する機関からの人権侵害は対象外なのだから、規制対象は職場としての一般企業や、ネット、井戸端会議になってしまうよね。
法案をよく読むと、外国人を安い賃金で雇っている雇用者や、右系ブログ、拉致被害者救済を目的として北朝鮮を攻撃しているようなブログや団体が取締り対象なんだよね。。。
でさぁ。。。
“人権侵害”って何?
法律では、“人権を侵害する事が人権侵害”って言っているのだけど、そもそも“人権”って?その“侵害”って?って感じ。
“差別”や“(人権)侵害”を人権委員とか人権擁護委員が判断するって、それでいいの?
それって、人によって判断基準が違うって事なんだよね?
少なくとも、今現在のこの法案は人権“侵害”や“差別”の定義が曖昧なまま、差別の“助長、誘発”をも禁止しようとしている。
差別認定の全権を委ねられている“人権委員会”は、裁判所の認可・令状無しに関係者に出頭を求めたり家宅捜索をすることもでき、協力を拒否すると処罰される。
秘密警察そのものになりかねない権限を持つことになる。
私は、「空のつぶやき」のVol1で、FTAの締結に関して「日本では農業の保護政策がネックになって、締結できない」と書いた事があった。
その時は、農業を産業として自立させるべきという論点で“補助金はもう不要では?”と書いたのだった。
その私の意見に対しては、「農業は“食の安全保障”の観点から保護が必要」という意見があったのだけど、議論が進むうちに「(補助金を不要と言う)貴女は頭脳労働者だから、肉体労働者である農業従事者を差別している」と言われた。
私としてはこの言葉には“逆差別”を感じたのだけど、その直後に別のある人から、「差別は“する側”が意識するものではなく、“される側”が意識するもの」と言われたのだった。
成るほど、“言われた側”が“差別”と感じたならどんな言葉でも“差別”になるのなら、私の「補助金は不要」と言う言葉も受けた相手にとっては“差別”と感じられたのだろう。
人権擁護法では、こういう場合議論の相手が「人権擁護委員」に私を訴えたとしたら、最悪の場合私の住所や名前が「農業従事者を差別した人」として世に公表される事になんだよね。
この場合、私の表現の自由や言論の自由と言った「基本的人権」は誰が守ってくれるのだろう?
本来であれば、「人権擁護委員」が守ってくれるはずなのだけど、「人権擁護委員」が先に私を「農業従事者に対する差別者」だと断定したら?
それってオカシイよね。
誰かの“人権”を守るために、他の誰かの“人権”が侵される事になるものね。
でも、今のままだと、“人権侵害”の定義は「人権委員」、或いは「人権擁護委員」の判断に委ねられる事になるから、その人達の価値観に拠ってしまうんだよね。。。
この人権委員って、そこまでの見識がある人がなるのだろうか?
今日の自民党の法務部会では、「人権擁護委員は自宅の捜索など強制権がある。憲法の精神にのっとっているといえるのか」とか「人権擁護委員の選考が不透明で国籍条項もない。朝鮮総連関係者も選任されるのか」と言う意見もあったらしいが、後者の意見などはこの法の趣旨に照らし合わせると、既に“差別”者として、罰せられる可能性があるよ。
だって、“外国人”を不当に除外してはいけないのだもの。。。
拡大解釈すれば、金正日が人権委員になる事だってできるのよ。
別に資格を“居住者”に限っているわけではないし、“人種や国籍で差別・区別してはならない”のだからね。
日本人が見て金正日が“人格高潔”に見えるかどうかはさておき、この法案を推進している某団体にはそう見えるかもしれないしね。。。
冗談はさておき、こんな法律が成立したら日本は民主主義国ではなくなるよね。
民間人から“人権侵害”に関する“情報を集め”、捜査や強制力のある組織って秘密警察なりかねない。
前回のメディア規制法案の時には、マスコミは一斉に報道、反対表明していたが、今回はメディア規制条項の凍結されると言う事で、報道を控えていたようだ。
最近になって少しずつ報道されるようになったものの、産経、毎日がやや批判的なだけで、朝日新聞に至っては「マスコミ規制に関しては“凍結”ではなく“削除”すべきで、それ以外の部分は成立が必要」だと。
自分たちだけ規制を受けなければ、国民は規制を受けるべきだなんてね。。。
頭悪すぎ。
自分たちだって、仕事を離れれば“規制を受ける”国民なのにね。
参考資料
人権擁護法(案)
人権擁護法案に関するQ&A
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Comments:2
- pal 2005年3月14日 23:43
TBありがとうございます。
こちらからもTBさせてもらいました。人権擁護法案、どうなるかはわかりませんが
僕もできる限りの事はしていこうと思っています。
- COO 2005年3月15日 02:46
自民党は、今のままでは上程しないと決めたとか。
法務省は抵抗していますが、今後、どのように修正されるのか見守る必要がありますね。
本当は廃案になるのが一番良いのですが。。。
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