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銀行がもう少し“真剣に”犯罪に利用される事を嫌がったら、

今日の「EZ TV」(フジテレビ)を見ていたら、気になるニュース(情報?)があった。

ニュースは特集で、評論家の小沢遼子氏が最近遭った盗難事件。
銀行のキャッシュコーナーを出た所で、グループと見られる男たちの連携でキャッシュカードをバッグから盗まれ、数分間の内に400万円を盗まれたと言うもの。

手口としては、
 1.キャッシュコーナーで彼女の後ろに居た人が彼女のキャッシュカードの暗証番号を盗み見る。
 2.キャッシュコーナーを出て暫く歩いた所で誰かが彼女にぶつかる。
  (此処で、バッグのファスナーが開けられたらしい)
 3.更に歩いた所で、誰かが洋服に何かが引っかかったと彼女に声をかけ、その後ろを不自然に近寄って人が歩く。
 4.最初にキャッシュコーナーで預金を下ろした時に使用した暗証番号と同じ番号を暗証番号として使用してた銀行、2行から合計で400万円の預金が下ろされる。
  (他の銀行もアクセスの形跡あり)

手口そのものはよくある話で、大して目新しいものではない。
気になったのは、その後の話。

帰宅して、彼女はカードホルダーがバッグに入っていない事に気づき、銀行にカードフォルダーの忘れ物がないかの確認の電話する。
当日は銀行の休日だったらしい。
銀行(の電話オペレーター)の対応は、休日はキャッシュコーナーは警備員が警備していて、銀行からは直接警備員に確認は出来ないと。

ヘンだよね。
銀行の警備を警備会社に任せているにしても、そのキャッシュコーナーは銀行の管理下にある。
銀行が警備会社に確認を入れられない道理はないし、本来は銀行の責任で確認すべきでは?と思う。

仕方がないので彼女は自分でキャッシュコーナーに赴き担当の警備員に忘れ物の確認をするが、カードの忘れ物は届いていないと言う。
そこでカードが盗難された事に気づき、当日だったか、次の営業日だったか聞きそこなったが、彼女は銀行に残高の確認をする。
そこで、暗証番号が同じ2つの銀行から現金が引き出されている事を知る。
で、彼女は銀行に“(盗難時の)補償”について確認するが、1行は全く補償はしないと言ったらしい。
と言う事は、もう1行は補償したのかな?

ここで不思議だったのは、カードを盗まれて銀行預金が下ろされた場合、刑法上の“被害者”は銀行だと言う事。
実質的な損害を被むった小沢氏は、“カード”の盗難の被害者であって、預金を下ろされた被害者にはならないらしい。
これって凄くヘン。
だって、銀行は実質何の被害も受けていない。
むしろ、他行からの引き出しと休日時間外の手数料で“儲け”ている。
“儲け”ている“被害者”なんて。。。
この場合、被害者は何の損害も無いわけだから、“被害”届けだって出さないだろう。
となると、“事件”は成り立たなくなるから、この窃盗グループって、捕まる心配はなく丸儲けって事になる。
おかしいよね。。。
この場合、小沢氏が“被害者”として認定されるべきだよね。。。
ったく、60年も前に制定された法律を後生大事に抱えているから、実態に合わずに、こんな不思議な事になるのだわ。

正規のカードを使って、正しい暗証番号を使って下ろされた預金は、それが預金者が下ろしたものでなくても、本人が、或いは本人の了解の下に下ろされたものと判断されるので、銀行には預金者の損害に対する補償義務はない。
預金者は泣き寝入りするしかない。

だけどなぁ。。。
今回の件で、銀行は全く落ち度は無いのだろうか?
暗証番号が他人に簡単に盗み見できるキャッシュコーナーの構造と言うのは、銀行の落ち度にはならない?
私は法律の専門家ではないし、実務で使う以上には法律を知らない。
だから民法で其処まで追求できるのかは判らない。
でも、通帳さえあれば印鑑は多少違っても預金が下ろせるとか、キャッシュコーナの入り口にカードの口座番号と暗証番号をスキャニングする装置を設置されてもそのままにしておいて預金者のカードを偽造されるとか、銀行の不注意による預金の“盗難”といった不祥事も多い。
でも、そんな不祥事があっても預金者の損失を補償する義務も責任もないから、銀行って実は痛くも痒くもないのよね。。。

オレオレ詐欺(今は、成りすまし詐欺だっけ。。。)だって、犯人が銀行のATMから振り込ませている限りは、銀行はその手数料を儲けこそはすれ、損はしない。
本心としては、他行で振り込まれるオレオレ詐欺は犯罪だけど、自行で振り込まれれば“歓迎”だなんて思っているんじゃないかしら?
実際、表向きは犯罪を阻止するような格好を取っていても、あまり真剣でないのでは?と思う。


これがクレジットカードなら、カード会社は利用者に“保険”という形で損失を補償している。
そう。。。今回、クレジットカードが狙われなかったのは其処に原因がある。
クレジットカードは、カード会社が利用者の損害を補償しているので、カードが利用者の行動(利用)パターンと違うと認識されるとカード利用をストップする。
また、利用限度額が決まっているので、今回のように“あるだけごっそり”と言う事はない。
要は歯止めが利いているのだ。

銀行に、こういったケースの補償義務を負わせたら、どうなるかしらね?
例えば、今回の様に預金者が暗証番号を他人に教える落ち度が無い場合は銀行がその損失を負担するだとか。。。
そうすれば、暗証番号が安易に盗み見出来るようなキャッシュコーナーはなくなるような気がする。
それに、預金を下ろした後、不自然な時間間隔では預金は下ろせないだとか。。。

マネーロンダリングもそうなのだけど、銀行が犯罪に利用された場合、銀行がその被害の一部でも補償する義務を負わせなければ、銀行は永遠に犯罪に“協力”する事になんじゃないかな。。。
犯罪の過半数が“お金”に関わるのだとしたら、銀行がもう少し“真剣に”犯罪に利用される事を嫌がったら、犯罪は減るような気がする。。。
気がするだけだけどね。

Comments:6

彩庵 2005年1月20日 09:57

ゴルフ場でのスキミングにより、銀行預金を引き出された被害者が声を大にして「(コンビニで)20万円を相当回数連続して引き出しているのだから、引出しを一時止めるべきだ」と言っていた。

止めるかどうかの論議は必要であるが、現在預金に対して個人の保障はBTMの掌認証を行うあの預金くらいなものである。(限度額1億円)
つまりは金持ち以外は保障しませんと言っているのと変わりないのかもしれない。

COO 2005年1月20日 15:14

銀行って、そういった意味でのCRMが出来ていないのよね。
預かっている以上、事故無く預金者に返すのがスジのはずなのにね。

BTMは、小額預金者を“ゴミ”と呼んでいるって噂があったけど、
顧客管理の対象って、大口の金持ち客だけなんだよね。。。

彩庵 2005年1月20日 20:51

まあ丸の内支店だけでどれだけ稼いでいるかということなんでしょうね(笑)
会社としての付き合いは月商1億以上と言われましたしねぇ^^;
UFJとの統合(というか吸収)で、リテールにも力を入れるのではないかとかすかな期待を抱いていますがいかがでしょ?

COO 2005年1月21日 02:07

BOTTはリテール(ほぼ)なし、BOMはリテールとホールセール。
合併の時点ではホールセールを志向したと思われますが、
今度の合併はどうでしょうね。。。
結局、UFJ分はお荷物になってしまって、
リテールが、また“ゴミ”になってしまわない事を祈るのみですかね。。。

彩庵 2005年1月21日 08:19

BTMの性格上、ホールセール志向というのは別段構わないと感じています。
リテールなら信用組合が一番と思っていますから(笑)

ただUFJはリテールでのつけ・・・特に三和のつけがありますからねぇ・・・
東海だってトヨタのメインバンクになれたはずなのに、自分から断ってしまったのだからどうしようもないしねぇ。

合併といいながら実質吸収と捉えられなくもないので、現在のBTMで合併元の銀行で人事が左右されるようなことがあまりないところは変わってしまうかもしれませんね。

本店ですがかなり手狭なんですが、日本橋にあった東京営業部を閉めたにも、大手町のUFJ本店が大手町営業部(?)に一時期なるのでしょうかね。
そうでもしないと、あれだけの行員を入れておくスペースが無いでしょうね。

COO 2005年1月22日 04:03

三和はバブル期に無茶な融資をしなかった、
いわば、バブル後の優等生だったのに。。。
東海は、トヨタのメインバンクに成ってしまうと、トヨタに取り込まれてしまいますからね。。。
(関係ないけど、トヨタって、取引先の評判が悪い。。。全て、自社に取り込もうとするから。。。)

大手町が東京営業部になるのかなぁ。。。
どっか、新しい三菱村に作りそうな気がするけど。。。(笑)

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